相模原・座間、合議制へ要望書提出/地裁所長は対話に応じず


相模原市と座間市を管轄する横浜地裁相模原支部(中央区富士見)で裁判官3人による合議制裁判と労働審判の実施を求め、両市長や県弁護士会、地域団体など計47団体で構成する協議会が1月17日、横浜地裁(横浜市中区)に要望書を提出した。要望先は同地裁所長だったが、対応したのは所長代行。本村賢太郎市長は「85万人市民を代表して民意を聞いてほしかったが対話ができない。所長に会えない理由もわからない」と述べた。【2024年2月1日号掲載】

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協議会は昨年7月に発足。会長は相模原市の本村市長、座間市の佐藤弥斗市長。副会長は相模原商工会議所の杉岡芳樹会頭ら、幹事は両市の自治会連合会の会長が務める。両市の行政や経済団体、住民団体など計47団体が一丸となって合議制の実現を目指している。

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座間市の佐藤市長は「合議制と労働審判が同支部に導入されない理由がわからない。地裁側の対応は、基本的にゼロ回答。誠意を持った対応をしてほしかった」と憤った。要望に対し所長代行は「地裁の裁判官会議で決めるが、全国的な人員や施設の適正配置などの視点が必要なため、最高裁と協議する」と説明したという。

本村市長は「今後、最高裁や法務大臣にも直接要望していく。強い決意で実現するための行動をしていく」と語った。

合議制は、3人の裁判官の協議によって事件を審理する体制。同地裁相模原支部では1994年の設立以来、1人の裁判官が審理する単独制のみ。県内4支部(川崎、小田原、横須賀、相模原)で唯一、全国の政令指定都市20市にある支部で唯一、合議制の裁判を行っていない。

労働審判は、労働関係の民事紛争を対象とし、裁判官と労使専門家の計3人で構成する労働審判委員会で行う制度。

協議会によると、同支部の管内人口は85万人を超え、2020年の民事訴訟は595件で、全国203の支部の中でも14番目の件数にのぼり、人口、取り扱い件数ともに少ない他支部で合議制が実施されているにも関わらず、相模原支部では行われていない。

このため、横浜市中区の同地裁本庁で行わなければならず、出廷を希望する当事者が出廷できないなど、移動に伴う時間的、金銭的な制約から司法の救済を断念する場合がある。市民が合議制による審理を受けられない不利益や、処理に伴う遅れによる不当な身体的拘束の長期化など不利益が生じているとする。

県弁護士会の島崎友樹会長は「20年以上も要望を繰り返してきた。協議会に多様な団体が参加していること自体が市民が実現を求めていることを裏付けている。裁判所は市民の声に耳を傾け、速やかに実現を図っていただきたい」と話した。

 

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