計画に不満の声「サルせん滅すべき」/相模原旧津久井


「人里に出てくるサルはせん滅するべき」と力強い声が会場に響いた。県は1月25日、相模原市緑区与瀬の県立相模湖交流センターで第4次県ニホンザル管理計画について説明会を開いた。相模湖や藤野など旧津久井4町の住民ら約30人が参加し、意見交換では計画の不明瞭さや対策の不足に不満の声が相次いだ。

サル対策で説明会 千木良に住むという参加者は「15~20年前までサルはいなかった。元々津久井にいなかった動物なのだから、外来種と同様に駆除するべき」と、個体数の維持を進める県の方針に異議を唱えた。藤野の住民からも「サルはせん滅すべき」との意見が出ると、「そうだ。その通りだ」「みんなそう思っている」などと賛同する声が続いた。

県自然環境保全課は「食べ物があり、安全に過ごせる環境があれば動物が住み着くのは自然。ある群を除去しても、サルにとって暮らしやすい場所である以上、他の群が入ってきてしまう」と説明。「いろいろな鳥獣が多様な生態系を形成するので、住民の被害を最小限に留める方法をとりたい」と理解を求めた。

県は、個体数を管理して群れの適正規模を維持しつつ、人との棲み分けを図る対策方針を示している。「一部地域に追い払い用の電動ガンを支給している」と説明するが、防護柵の設置費や追い払いに使う器具の購入費を自己負担している住民がおり、農作物の食害とともに経済的な負担も強いられている。

「山梨県や東京都から追われてきた群が、相模湖や藤野の近隣の山に定着してしまっている」との指摘もあった。また、わなへの誘導や群の移動を防ぐための方策が、隣接する都県や県内市町村からの群の移動を招いているとの指摘もあった。

「津久井で農業をやろうという人はいなくなる。都心に出れば大騒ぎになるのに、田舎で熱心に農業をやっていて被害があっても当たり前のよう」と訴える人もいた。参加した住民は「被害の大小ではなく、自分の生活を守りたいだけ」と話した。

計画は2017年3月に策定され、ことしが計画期間(22年3月末まで)の中間年(3年目)に当たる。対象地域となっている県央(厚木市、1月19日)・県西(小田原市、同23日)・相模原の3会場で説明会を開催。同課からサル対策の現状と課題、今後の方向性などについて報告があった。

津久井地域には6群約300頭が生息し、18年度は約120万円相当の農作物被害が発生。小型の捕獲おり(約40基)で毎年約50頭(18年度52頭)を捕獲してきたが生息数は減少せず、集落への日中の出没も頻繁になるなど市民生活への脅威が高まっている。

田中課長は「被害状況が想像以上だったと改めて認識した。実効性・即効性がある対策が行えていなかった。きょうの意見を取り入れ、サルの頭数調整などを計画に反映させたい」と述べ、説明会を締め括った。

【相模経済新聞2月1日号掲載】

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