東急建設、ビオトープでホタル生息確認/生育条件のノウハウ蓄積し開発に提案


東急建設はこのほど、相模原市中央区田名の技術研究所に設置した実証施設で約1年のデータ計測を行い、雨水を活用したビオトープ(水辺の生息空間)にホタルが生息していることなどを確認した。水質、温度、照度、風速など育成環境を計測・調査し、ヘイケボタル生育条件をノウハウとして蓄積している。

相模原市内の研究施設で確認されたヘイケボタル

相模原市内の研究施設で確認されたヘイケボタル



同社は3月から5月にかけて、ヘイケボタルの幼虫を約80匹放流し、26月から成虫を確認。その後、約1カ月間ヘイケボタルの飛翔を確認し、ホタル生息環境の創出にも成功したと判断した。

実証施設(約120平方㍍)は、防災・減災、生物多様性の保全など、持続可能な地域づくりを推進する「グリーンインフラ」の有効性を検証するもの。雨水を地下に溜めて流出を抑制し、自然な水の循環を促す貯留槽・浸透促進設備を構築。太陽光発電で稼働するポンプも設け、地下に蓄えた雨水などを汲み上げて水辺を再現している。

実証の目的は、①都市型集中豪雨対策②環境保全技術開発③動植物生育環境の創

な昆虫類や鳥類等が生息・育成できる場になっており、周辺の緑地との中継地としてエコロジカルネットワークの形成等、生物多様性の保全にも役立つことが期待される。

グリーンインフラは、雨水浸透・貯留による防災・減災や、植物の蒸発散機能を通じた気温上昇の抑制など、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能な国土づくりや地域づくりを進める取り組み。地域住民との協働や民間企業との連携で多様な主体が維持管理活動に関与できることから、グリーンインフラを起点とした新たなコミュニティーが形成されると期待されている。

同社は、収集したデータをもとに、さらなる活用が期待されているグリーンインフラの要素技術の高度化と段階的な改良を進める。今後、都市部における設置の提案や進行中の開発計画などの環境保全への活用を進めていく予定。

【2019年12月10日号掲載】

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