遠藤広規さん、橋本から新たな歯科医院発信/患者との対話と予防を重視


家族は歯科医の妻と3児

     家族は歯科医の妻と3児



先進的な顕微鏡歯科治療で知られるエンドウ ナチュラル デンタル オフィス(相模原市緑区橋本3丁目)の遠藤広規院長(36)は国立新潟大卒業後、同大歯学総合病院の研修医、都内歯科医院の勤務医と院長などを経験。2014年4月、地域住民に愛されるオンリーワンの歯医者を目指して橋本で開業した。治療計画を懇切に説明する姿勢が患者から信頼を寄せられており、近く新院開設、海外での講演が予定されるなど活躍の場が広がる一方、住み慣れた橋本に強い愛着を持っている。

(編集委員・戸塚忠良/2018年2月1日号掲載)

■「人の役に…」

遠藤さんは1981年山梨県大月市生まれ。父親は東京消防庁の職員で、親類縁者にも歯科医療に関係している人はいなかった。県立都留高校に学ぶうち「人のために役立つ仕事をしたい」と考えるようになり、国立新潟大歯学部への進学を志した。

「父親は歯が弱く、若いうちから入れ歯だったことも歯科医療を志す動機になったと思います」と回顧する。

卒業後は研修医を勤めた後、都内の歯科医院の勤務医、分院院長を履歴し2014年、エンドウ ナチュラル デンタル オフィスを開院した。

■丁寧に説明

それまでの体験で「歯科医に最も必要なのは、患者をどう治療していくかを考える力」という信念をはぐくんでいた。この信念のとおりに治療するため大事にしているのは、医師をはじめするスタッフと患者との対話、なかでも医師から患者への積極的で丁寧な説明を欠かさない。

「治療計画について時間をかけて説明しています。治療に必要な材料や技術とその費用などについても詳しく説明し、患者さんの選択の幅が広くなるように努めています」

それとともに重視しているのは予防歯科医療。「歯が健康でなければ体全体の健康に悪い影響を及ぼします。一年に数度定期的に通うことが大切です。どんなにいい義歯ができても自分の歯に勝るものはありません」と強調する。

予防重視の考えは診療体制に反映させており、毎週水曜日は小児歯科に特化し、専門の女性ドクターと親しみやすいエプロン姿の女性歯科衛生士が対応している。

現在、スタッフは医師が5人、非常勤医師が1人、歯科衛生士が5人、歯科助手と受付がそれぞれ3人ずつ。医師は全員が新潟大の後輩だ。近くこの数は2倍になる。

院内感染の防止にも万全の対策をとり、みずから第二種滅菌技士の資格を取得している。

■顕微鏡治療

顕微鏡歯科診療の導入時には「いいと思ったらすぐ実行する性格」という自己分析通りのエピソードがある。

「2年前、顕微鏡歯科学会の副会長をしている大学の先輩の医院を見学した方が良いと沢山の方に言われて治療の実際を目にしたとき、大きな衝撃と感動を体験しました。すぐに自分もやろうと決心して、その場で数百万円する顕微鏡を購入しました」

即決即断の導入は大きな効果を生んでいる。

「顕微鏡で患部を拡大してする診断する効果ももちろんありますが、最大のメリットは記録できることです。画像でプレゼンすることで患者さんとのコミュニケーションがとれます。治療の過程を見せることになるわけですが、それは同時に患者さんを魅せることにも通じると考えています」

患者と情報を共有する発想は、歯科医療の『見える化』を推し進めることにほかなるまい。

■広がる活躍の場

新たな事業として平成28年11月、医療法人社団エンタードを設立した。「患者さんに楽しんでもらい、女性スタッフも楽しく働ける場を作るのが事業目標」という。

5月2日には橋本駅南口に「ナチュラルデンタルオフィス 橋本」をオープンする。顕微鏡を本院と同じく4台備え、和風のテーストを施した佇まいが特徴。患者が増えるにつれて分院を希望する多くの声が寄せられており、その期待に応える新院開設だ。

また個人的には、エジプトで開催されるインプラント学会で英語の講演をする運びになった。「緊張感もありますが世界の専門家たちと交流する機会ができて本当に楽しみ」と声を弾ませる。

橋本に住んで10年。「大都会でもなく、田舎でもない橋本はとても暮らしやすい土地。ポテンシャルも高い。これからもずっと住んでいたい」と語り、「橋本の街と歩調を合わせて私たちの歯科医院も発展していきたい」と展望する。

橋本への愛着は先端的な歯科医療とトータルな歯科医療の展開への意欲と表裏一体のようだ。起業精神も豊かな青年院長はその一体感そのままに「橋本から歯科医療の新しい形を発信したい」と熱く語る。

 

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