フクスイ、屋外広告やPOPの加工・組立・施工


リテール営業への期待を語る梶山社長

リテール営業への期待を語る梶山社長


 我々が普段、街中の至るところで、その会社の製品を目にしているのに、それと特定できないものづくり--。

 樹脂製看板を主体とした屋外広告やPOPの加工・組み立て・施工を手掛けるフクスイ(相模原市緑区橋本台2-7-18、梶山治社長)は、そんな裏方仕事に徹した企業だ。

 1970年に設立された同社の母体は、梶山社長の父、朔二氏が56年に東京・板橋に創立した伏水産業。同氏は中国・大連(旧満州)からの引き揚げ者で、社名はその同窓会「伏水会」に由来する。当初は内職を使い輸出用の人形を作るなどしていたが、その後、時流に合わせて様々な事業に手を広げていった。

 その一つが65年に社内に起ち上げたプラスチック事業部で、フクスイはそれを分離独立させたものである。このほか、同様の事業部発祥で分離独立したものとしては、独自の練習機とともに全国に広まったフクスイゴルフ教室などがある。

 看板づくりは、フレーム、シートなどの材料をバラの状態で保管し、注文に応じて組み立てるので場所をとる上、注文内容によっては素材の成型加工が必要となる。県下初の高度化助成の工業団地として68年に建設が始まった相模原機械金属工業団地は、こうした事業を展開する同社にとってまさに時期を得たものであった。

 以来40余年、日本の経済も、街の景観も、建築物等のデザインも大きく様変わりしてきたが、看板づくりという事業の骨格はそれほど大きく変化していない。例えば、シート素材一つとってみても、耐候性や環境への配慮等により、ポリ塩化ビニールから、アクリル、ポリカーボネートなどに変化してきたが、注文から加工、組み立ての工程は大きな変化はない。

 「まだ償却が終わっていない設備のまま、我々が汗をかくことで生き残ってきた。常に最新設備を導入しなければ淘汰されてしまうような不安はない反面、人的な経験・技術は重要」と梶山社長は話す。

 ただ今後を考えた時、同社のように付き合いの長い大手顧客を複数抱えていても、それだけで安泰とはいえない。不景気、事業停滞で企業が真っ先に削る経費は広告宣伝費だからだ。しかも、近年は大手企業には広告代理店が入るため、系列事業者を使うことが多く、新規新規顧客獲得も容易ではない。

 このため同社では2年ほど前から、ダイレクトで看板の見積り、注文を受ける専門WEBサイトを開設する一方、比較的安価、短納期が可能な行灯型の規格看板を設定するなど、リテール営業を強化。

 「性質上、製品のほんの片隅にも製造元のクレジットを入れることは許されないが、商店の小さな看板1つでも、顧客の要望にきちんと応えたものを納めていくことがリピートや口コミにつながる」と、徐々にではあるが、梶山社長も手応えを感じ始めている。(2013年9月1日号掲載)

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