【相模原】立ち退き住民らが対話集会/「大西大通り線」新設反対に署名857筆


相模原市が橋本駅周辺整備事業で計画する新設道路「大西大通り線」に対し、地元住民が反対していることを巡り、本村賢太郎市長は3月24日、緑区合同庁舎で地元住民との対話集会を行った。道路新設で立ち退きを迫られる緑区西橋本2、3丁目の住民ら有志は道路新設反対の署名857筆を本村市長へ提出した。【2024年4月1日号掲載】

反対の署名を受け取る本村市長㊧

反対の署名を受け取る本村市長㊧



対話集会で、地元住民らは「大西大通りの新設計画を一旦凍結し、認可申請のスケジュールを取り下げること」を求めた。本村市長は「橋本駅南口のまちづくりにおいて必要不可欠な道路。まちづくりに合わせて確実に整備していきたい」と答えた。道路新設による立ち退きに反対する住民側と、道路新設を確実に整備していきたいとする市側で、対話集会は平行線をたどった。

大西大通り線は、リニア中央新幹線の「神奈川県駅(仮称)」が建設される橋本駅南口地区と圏央道の相模原インターチェンジ(IC)へと繋がる橋本相原線を結ぶ2車線の新設道路。整備計画はリニアトンネル上の西橋本の住宅街を約1キロに渡り横断し、住宅など約100棟、約200人の地権者が立ち退きの対象となっている。市が2023年3月に決定した橋本駅周辺整備推進事業の都市計画では、33年度の完成を目指すとしている。

大西大通り線などの位置図

大西大通り線などの位置図



市側は「相模原ICへと速達性を高めることにより、周辺都市間との交流・連携を支える道路として必要」「駅前の土地を有効活用するため、大規模構造物を建設できないリニア駅上に道路(橋本駅南口駅前通り線)を配置し、同線と直線的に接続できるよう線形(路線の形状)を決定した」と説明している。

本村市長は橋本駅周辺整備事業について市議会本会議で「街路事業、土地区画整理事業とも23年度内の事業認可の申請を目指す」と述べていた。市は道路用地取得のための測量を進めていく方針で、23年度以内に事業認可の申請を目指すとしていたが、地権者の一部には「市の測量に協力しない」などの動きも活発化しており、3月末で23年度は終了している。

本紙の取材に奈良浩之副市長は「市民との信頼を得て地権者の理解を得ながら、時間を掛けていく必要がある」と答え、事業認可の申請のスケジュールは現在のところは未定となった。

本村市長は「市民との対話は引き続き必要だと思っている。市民に寄り添った対応をすべきだったと反省をしなければならない。地権者の理解無くしては、前に進まない」と述べたが、一方で「この事業を成し遂げなければならない」と繰り返した。

住民らは署名提出にあたって「道路新設の計画が突然発表されて2年が経った。道路の位置がなぜ変更になったのか、詳しい経緯を市は説明していない。この道路計画は、住宅街を貫き多数の犠牲を伴うが、事前の情報提供すら一切行わずに決定された。既存道路の整備、市道大西線の整備活用という当初の計画に戻すこと」を求めた。

地元住民からは「住宅街に道路を新設するのではなく、橋本相原線、相原城山線、橋本大通り線など整備途中の幹線道路の整備を優先させ、リニア開業後の交通状況を見たうえで、必要かどうか判断するべき」などの意見があった。

 

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。