日相印刷、市内関係なら無料出版/支援活動「さがみはら出版俱楽部」


相模原を出版文化のまちに―。日相印刷(相模原市南区麻溝台8)は今月から、オンデマンド印刷(POD)のプラットフォーム「クニーガ.jp」を活用した出版支援活動「さがみはら出版俱楽部」を展開する。同社が取り組むシビックプライド向上事業の一環で、地域に眠る文化的・知的資産や歴史遺産の発掘が狙い。【2024年1月20日号掲載相出版俱楽部

さがみはら出版俱楽部は、相模原市内居住・在勤者、または相模原に関連する内容であれば、無料で出版できる仕組み。パソコンなどで入力した原稿データを用意し、校正・校閲を著者自身の責任で行う必要があるが、写真やイラストを用意すれば製版(割付、レイアウト)や表紙デザインなども同社が支援する。

従来の小規模出版は製版や印刷に掛かる費用を著者自身が負担するケースが多いが、同社のクニーガは読み手(購入者)が購入時に印刷費を負担する仕組み。在庫を抱えずに済むため、輸送や印刷にかかる不要なコストを削減できる上、これらによって生じるエネルギー負荷やCO2排出も抑制できる出版手段として期待する。

自分史や郷土史、小説、エッセイなどのほか、写真集や絵本、漫画、旅行記などジャンルは問わない。社史や記念誌・周年誌などにも対応可。販売による利益化を目指したい人の「お試し」、「作りたいものを作りたいように出版してほしい」とする。

国立国会図書館への納本やISBN(日本図書コード)の付与申請などは同社が行う。地域貢献として年1回、売り上げの数パーセント(著者が任意に設定)を市に寄付することに同意する必要がある。出版権は著者に帰属する。

江戸時代末期の磯部村で活動した農民戯作者・仙客亭柏琳(創業者の先祖)の作品を1冊にまとめた「仙客亭柏琳翻刻全集」の発行(2016年)がきっかけ。創業者一族で同社取締役の荒井慶太さんは、相模原の地域に眠る知的財産や歴史的資料が出版を通じて多く世に出ることで、地域に対する誇りや愛着を醸成できると考える。

近年、印刷需要の減少に反比例して自費出版は増加傾向にあるという。「コロナ禍で在宅時間が増えたことで自分を見つめ直す時間ができ、自分史を執筆する人が増えたのでは」とみる。同倶楽部を担当する荒井さんと村上一さんは、NPO法人日本自費出版ネットワークが主催する自費出版アドバイザーの資格を取得している。

俱楽部(事務局=日相印刷)は任意団体。顧問には、詩人・作家の神泉薫氏、編集プロダクション代表の立川芽衣氏、家庭教育アドバイザーの山口博久氏の市内在住3人(いずれも自費出版の経験者)が就任する。将来的には俱楽部登録者(著者)間の交流会や自費出版のノウハウを学べる講習会なども開く予定。

4月から、市内の主要駅近くの施設を会場に説明会を開く。問い合わせは、事務局042・748・6020へ。

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