相模原産業振興財団、県やKIPらと自動車部品供給で協議会発足


相模原市産業振興財団は、県、神奈川産業振興センター(KIP)、横浜企業経営支援財団、川崎市産業振興財団の4者とともに10日、県内中堅・中小自動車部品メーカーにとって「100年に1度」とも言われる自動車業界の変革への対応を支援する「神奈川県自動車部品サプライヤー協議会」を設立し、同日に横浜市内で会見と初の会合を開いた。県内支援機関による協議会の設立は初(KIP)。県内自動車関連産業の競争力が強化され、県内経済の持続的な発展につなげる狙いだが、相模原市産業振興財団としての考えを聞いた。【2023年10月12日号と同20日号掲載の記事2本を再編集】

横浜市内で開かれた発足式

横浜市内で開かれた発足式=本紙記者撮影



□業界動向を迅速に把握

自動車産業では、電動化や自動運転など大きなうねりの中、次世代技術の開発が加速しており大きな変革期にある。適切に対応を図り事業を継続的に発展させていく必要があるが、好機と捉え技術革新による企業価値の向上や事業の再構築に取り組むなど攻めの姿勢が求められている。

相模原市産業振興財団によると、市内には自動車関連業界に携わる企業が多い。特に金属部品製造業や金属加工業では、コロナ禍以前にも取引先である大手自動車メーカーから計画的に生産調整を実施するなどの通知を受けている企業もある。半導体不足の影響も大きく、自動車関連の下請け事業者の経営はさらに悪化した。

ハイブリット車の継続性や水素自動車の普及性など、自動車業界には将来の展望が不透明なものが多いのが現状。(同財団・野崎卓志さんは「協議会に参画することで、業界動向を少しでも早く市内企業に展開できるのではないかと期待している」と話す。

EV化の進展は「蓄電池関連の事業者にとって大きな機会になる。市内企業にとって何らかの影響、効果をもたらしている」(野崎さん)。一方で、「今後の受注減少が確実となる企業もあり、売り上げの低迷が見込まれる企業への支援をいかに行うかが課題となっている」とし、「市内事業者の声を協議会に届けることで、国や県の施策に少しでも繁栄させたい」と考えを語った。

□支援機関や部品製造など参画

協議会は、次世代自動車への対応に向けた課題の抽出や情報共有などを行うほか、中堅・中小企業が相互の連携強化を図る。KIPの茂木吉晴理事長は冒頭のあいあつで「自由かっ達な情報交換、意見交換を進め、課題の共有や連携強化を図る。協議会からの声を踏まえ、行政や各支援団体と連携して支援にあたり、県内経済の発展に貢献したい」と意気込みを示した。

構成機関などは5者に加え、県立産業技術総合研究所(KISTEC)や横浜銀行、自動車向けプレス部品製造の城山工業(相模原市緑区橋本台2)や相模原工場(同市中央区宮下1)を置くニフコ(横須賀市)などの自動車部品メーカーを中心とした計19者。県内自動車・車体メーカーのいすゞ(ず)自動車(横浜市西区)、日産自動車(同)、日産車体(平塚市)はオブザーバーとして参加している。議長はKIP事務局長が任う。

初回の会合では、次世代自動車に向けた取り組みについて各社が紹介した後、4月に開設した「かながわ自動車部品サプライヤー支援センター」の支援実績や今後の事業について報告があった。実地研修やセミナーの開催のほか、事業再構築を目指す企業への専門家派遣、販路開拓支援などを行っている。

同センターチーフコーディネーターの柳原秀基氏によると、神奈川県の半径50㌔県内には、日産、日産車体、いすゞ、三菱ふそうトラの本社・工場・研究開発・生産技術などの機能や部署が集積しており、愛知県に次ぐ多さ。県内製造業の8%弱に当たる551社の輸送機械製造業があり、材料・工法・組み立て・設備・金型・試作などと多様な技術業種が集まっている強みもある。

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