相模原在住の2人が神奈川文化賞に/上條陽子氏と松井利夫氏


県は10日、神奈川の文化の向上発展に尽力し、その功績顕著な個人や団体を表彰する2023年度(第72回)「神奈川文化賞」と「神奈川文化未来賞」の受賞者を発表した。文化賞の受賞者4人のうち2人が相模原市内在住者となった。【2023年10月12日号掲載】

上條陽子氏

上條陽子氏=画家、相模原芸術家協会前会長



芸術振興と国際交流に貢献したとして芸術分野で受賞したのは、相模原芸術家協会前会長の上條陽子(86)氏。後進の育成を図りながら、地域の人々に優れた作品を提供するだけでなく、子どもセンターでのワークショップの実施や、同市の友好都市である中国・無錫市やカナダ・トロント市との交流展の開催に尽力するなど、国際的な活動にも積極的に関わり、地域文化振興に貢献している。

絵の具を集めてレバノンのパレスチナ難民キャンプを訪れ、現地の子供たちに絵画指導をすることから始まった命がけの難民支援は、10 数回にも及ぶ。交流で生まれた絵画を国内各地で発表するなど、アートを介してパレスチナの現状を伝える活動が、多方面から称賛されている。特に、実現不可能と言われたパレスチナ・ガザ地区の画家の日本への招へいは、大きな話題となった。

松井利夫氏=アルプス技研最高顧問

松井利夫氏=アルプス技研最高顧問



アルプス技研創業者の松井利夫氏(80)は、起業家育成や地方創生に貢献したとして産業分野で受賞。設計技術者の派遣・請負業のパイオニアとして労働者派遣法の制定、アウトソーシングという潮流が起こる中で、「企業は人なり」を信念に研修や訓練など社員教育に力を注ぎながら、製造業の製品開発・設計支援、技術者派遣、技術請負などに事業を拡大した。

1997年に会長職となった後は、自身の起業体験から社内外の起業を志す人らに対し起業に必要な心得の伝授し、経済的な支援と物心両面からの起業支援も行ってきた。「地方創生のためには、地域で次世代の起業家を育てることが重要」との思いから、50 年余りの経営者人生の経験を生かし、日本各地で起業家育成、まちづくりに尽力している。

2006年には私財を投じて特定非営利活動法人ふれあい自然塾を設立し、自然や社会の恩恵を感じながら生きる大切さが体感できる自然体験の場を青少年やその家族らに提供している。少子高齢化に対応するため、国境を越えた優秀な人材のグローバル化を目指し、ミャンマーにIT技術者養成コースや介護補助専門家コースを開設するなど人材育成にも協力・支援している。

贈呈式は文化の日の11月3日、午後2時半から県民ホール大ホール(横浜市中区山下町3)で行う。黒岩祐治知事らが出席する。式典(賞の贈呈、受賞者へのインタビュー)の後に、文化賞未来賞を受賞されるピアニスト・阪田知樹さん(横浜市在住)が共演する神奈川フィルハーモニー管弦楽団の祝賀演奏も予定。

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