相模原駅北口、地域住民からケース提案/検討事項踏まえ再設定も


JR相模原駅北側の相模総合補給廠一部返還地(約15ヘクタール、相模原市中央区)を中心に土地利用計画の検討を進める会議が11日、市立産業会館(中央区中央3)で7回目の会合を開き、これまでの検討内容を踏まえて改めて設定した3つのケースや評価方法、交通処理方策などについて意見を交えた。隣接する小山地区のまちづくり会議が独自に検討したケースも提案され、2024年度の計画策定に向けて議論が活況を迎える。【2023年9月20日号掲載】

 

◇イノベ施設を複合化

3つに絞り込みを行ったモデルケースについて導入機能の精査を行い、ライフ重視(賑わい機能を備えた中層低密度)の「ケースA(旧ケース2)」、イノベーション重視(職住近接高層高密度)の「ケースB(同3)」、高層高密度・交流重視(スタジアム・商業)の「ケースC(同7)」として再設定した。

駅北口ケースA
ケースAの変更点は、それぞれ独立していた地域型ホールとイノベーション(技術革新)関連機能を複合化する。インキュベーション(起業・事業創出)オフィスを基本に、コワーキングスペースなどを組み合わせて事業系交流ハブを形成。地域型ホールとの連携により、会議やビジネス交流会などの展開も視野に入れる。

駅北口ケースB
ケースBでは、研究・開発機能を基本に研究者のアメニティーを高める機能として、会議などの利用も可能な宿泊機能を併設する案とした。スタジアムを含むケースCに大きな変更点はなかった。

 

◇自動車交通量に対応

まちづくりによる土地利用により、宮下横山台線を中心に自動車交通の負荷が予測される。大規模商業施設を含むケースBは自動車だけで1日(休日)約3万台、スタジアムと商業施設があるケースCでは同約2万6千台と試算する。

平日1日のトータルの総発生集中交通量は延べ床面積がもっとも大きく、業務系機能が多いケースBが最多となる。一方で、週末に試合やイベントの開催を見込むケースCは休日に交通量が増加。現在の交通量を踏まえるといずれのケースでも容量を超過する交差点が複数出る懸念があり、特に宮下横山台線と国道16号が交わる清新交差点ではいずれのケースでも容量超過の可能性が高いとみる。

対応策としては、宮下横山台線の4車線拡幅や、清新交差点の右折レーン増設などで交通容量を増加したい考え。南北道路以東にJR横浜線をまたぐ新たに南北縦断道路を整備するなど、周辺道路にかかる負荷を緩和する案を示している。

自動車アクセスの発生要因となる施設の規模を縮小するほか、自動車以外でのアクセスを主とする施設に変更するなど自動車利用自体を減らす手法も検討する。

公募委員からは「現状でも踏み切りがある市道すすきの氷川線が滞り気味。スタジアムや大型商業施設ができると想定すると、来訪する車両や人でパンクしてしまう」と不安の声も聞こえる。有識者委員からエリアへのアクセス道路の脆弱性を指摘した上で、「まちびらき以前に工事車両の同線が確保できず、工期が延びる可能性がある」とする見方もあった。

 

◇住民が方向性を提案

24年度をめどに土地利用計画を策定する方針で、今年度から検討が佳境をみせるため、対象地区の周辺住民らで構成する小山地区まちづくり会議でもまちづくりについて検討を行っている。委員を対象にアンケートを行った結果、「ケース3」を基に、ほかのケースの良いと思う部分を反映した独自の「ケース小山」としてまとめた。

ケース小山は、相模原の将来を見据え、「子育て世代から高齢者までが住みよいまちづくり」「子育て世代が移住したいと思うまちづくり」をテーマとした。人口減少が予測される中、だれもが住みやすく持続可能なまちとしていくためには「地域社会を担う若い世代が相模原に移住したいというまちづくりが重要」とした。

導入機能は①商業「医療ビレッジと交流機能を併設した複合型大規模商業施設」②交流・にぎわい「地域型ホール」③イノベーション関係「研究開発、イノベーション等の開発共創に資する施設」④居住生活「タワーマンションの低層階に保育施設を併設」⑤交流ハブ「イベント等が開催できる公園」―の5つを盛り込む。

同案では、地域型ホールを「ひとつの地域活動拠点としたい」とし、住宅や市立向陽小学校などにより近いエリアの西側に配置を希望している点がポイント。安藤孝洋委員(小山地区自治会連合会顧問など)は「地域住民としては、より現実的で持続可能なよりよい生活環境を望んでいる。周辺の道路等のインフラ整備がなによりのポイントとなるはずなので、これらを踏まえ検討を進めてほしい」と訴えた。

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