相模原市消防局や北里大など、民間企業と連携で映像のリアルタイム伝送実証


相模原市消防局と北里大学(同市南区北里)はきょうから、凸版印刷やソフトバンクと、119番通報の現場と医療機関との間で安全かつ効果的な情報伝達を実現することを目的に、セキュリティーを担保したリアルタイム映像伝送システムの実証実験を始めた。期間は2024年3月下旬まで。【2023年7月24日、web】

消防北里実証

リアルタイム映像伝送システムは、スマートフォンやタブレット端末を利用して、火災や救急など現場のリアルタイムの映像を、消防の通信指令室や救急隊、医療機関が共有できる。市消防局によると、いずれの実験もセキュリティが確保されており、実証実験外で情報が利用されることはないという。映像を送る場合は、患者や家族に同意を得て行う。

実証実験では、現場に到着した救急隊から、北里大学病院救命救急・災害医療センターの医師や看護師へ映像をリアルタイムに共有すると同時に、通報した生活者から通信指令室への映像伝送を可能にするシステムを構築する。このシステムの有用性やセキュリティーなどの評価を行う。

例えば、事故の発生現場では、119番の通報者が持つインターネット回線やカメラ機能が使えるスマートフォンやタブレット端末で、現場の映像を通信指令室の端末に送ってもらう。119番通報時に現場の映像を消防局が確認しながら、通報者や現場周辺にいる人に対し、的確な応急手当の指導をする。実証実験に協力してもらう場合は、119番通報時に操作方法を説明するという。

また、救急車に配備しているスマートフォンから、救急隊員が患者の映像を北里大学病院の医師に送信。救急隊員と医療機関が現場の映像を共有することで、患者への救急処置について、医師からの的確な指示を受けて対応する。

22年7月から、凸版印刷、北里大学、ソフトバンクは、同病院内の医師や看護師と、同病院所属のドクターカーがリアルタイム映像伝送システムを活用。スムーズな状況把握やコミュニケーションを実現するための実証実験を行ってきた。

1年間で126件の映像伝送を行い、ECMO(体外式人工心肺)など高度な医療処置の指示や判断にも活用し、使用した医療従事者の9割以上が効果を実感。これらの成果を踏まえ、実証実験は相模原市と連携し実施することで、さらなる社会実装を目指す。

 

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。