相模原の公示地価、住商工すべて2年連続上昇/山間部では下落止まらず


国土交通省が3月22日に発表した2023年公示地価で、相模原市全体において住宅地、商業地、工業地のすべての平均変動率が2年連続で上昇した。リニア中央新幹線新駅が設置される橋本駅周辺でも商業地の上昇率が約1割に拡大(前年5・8%)し、県内の上昇率順で4位になったものの、県内トップ10入りしたのは1地点のみに留まった。緑区の中山間地域では住宅地と商業地で下落に歯止めがかからず、同じ市内でも地域によって明暗が分かれている。【2023年5月22日号掲載】

下落率ワースト5位の「与瀬本町」=本紙撮影

下落率ワースト5位の「与瀬本町」=本紙撮影



 □旧津久井下降目立つ

商業地では相模原市の平均変動率が3・0%(同0・9%)と上昇率が拡大した。上昇率を区ごとに見ると、緑区3・1%、中央区3・3%、南区2・6%とそれぞれ上昇となった。個別の地点では、橋本駅南口から西へ約350㍍の「橋本2丁目―10―24」が10・3%(同5・8%)に伸ばし、上昇率順を県内4位(同1位)に下げた。

同区では一方で、国道20号相模湖駅前交差点から藤野寄りに約50㍍の「与瀬本町8番1」(相模湖駅から100㍍)は、マイナス1・3%(同マイナス2・0%)と下落率を縮めたものの、県内ワースト5位となった。選定替えで新たに加わった、旧津久井町中心地を通る県道鳥屋川尻線沿いの「中野字中村302番1」(橋本駅から8・9㌔)の地点が同じくマイナス1・3%でワースト6位となった。

橋本駅周辺地区は、リニア中央新幹線の事業進捗による駅周辺の整備発展や商業集積の充実に対する期待もさることながら、上層階を共同住宅として使用することが可能な商業地域では、将来のマンション利用を見据えた需要が地価を牽引していると見られる。一方で、旧津久井郡は地理的に商業需要が弱く、地価の下落が継続している。

県央地域では、小田急本厚木駅(厚木市)北口駅前広場に隣接する「中町2丁目939番外」が9・5%(同5・0%)で上昇率5位になった。同駅北口地区の約4500平方㍍で再開発が検討されており、新たに整備される駅前広場や商業ビル建設などへの期待感が高い。このほか、海老名市2・5%(同1・5%)、座間市2・2(同0・3%)、大和市1・8(同0・0%)とそれぞれ上昇傾向を示した。

 □相模原で上昇率弱化

住宅地では、都内との価格差や人口増加等を背景に、交通利便性が高い住宅地域を中心に需要が堅調で、相模原市全体で1・7%(同0・6%)と上昇率が拡大。緑区2・0%、中央区1・8%、南区1・9%とそれぞれ上昇となった。

緑区の橋本駅周辺では、交通利便性が高いことによる旺盛な需要に加え、リニア中央新幹線事業の進捗による発展的期待感から、上昇が継続している。徒歩圏内の外縁部やバス圏においても、駅周辺部の価格上昇が波及し、地価の上昇がみられた。

JR相模湖駅から約4㌔離れた「千木良字柳馬場431番1」は、マイナス2・6%(同マイナス4・6%)と下落がやや弱まったが、下落順位がワースト10位(前回9位)になった。ことしは、相模原市内における地点で上昇率順上位はなかった。

 □物流需要で県央堅調

工業地では厚木市内の「緑ケ丘5―1―2」(オーマイ厚木工場)が1位(同5位)になったほか、「飯山南3―20―62」(トーカイ・パッケージングシステム飯山事業所)が3位を維持した。相模原市内は上昇率上位には入らなかったが南区が6・9%、緑区が6・0%、中央区3・5%の上昇となり、全体で4・5%(同3・6%)となる堅調ぶり。

ネット通販関連の貨物業者などの需要がおう盛なため、物流適地や倉庫適地への需要増加が続いている。一方、製造業系工業地においても、コロナ禍や為替リスクの影響を受けたが、値頃感や中小の倉庫需要などにより横ばいから上昇に転じる地点が見られた。

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