🎍お正月特別企画「信州上田紀行~記者放浪記~」【後編】(本編は2023年1月1日号10面をご覧ください)


【前編から続き】

午前の取材が終わり昼休み。いつもならスーパーの総菜か、チェーン店で済ませてしまうところだが、せっかくの「信州上田」取材。ご当地名物を食さないのは「(自称)究極のグルメ担当」の恥。スマホで「上田市 ランチ 名物」(そば非対応)などと調べると、「美味(おい)だれ」なるものを使った焼き鳥を扱う店がいくつか出てくる。

だが、かつての城下町の名残か、上田市の市街は道が複雑。片側1車線だった道路が走り続けるとすれ違いがやっとな幅になり、やがて一方通行、車さえ通れない位に狭くなる。

豚カツやとりあえず適当に入れと突撃したのが「くいしん坊」(中央西1―15―37)さん。「とんかつ 中華」を掲げるお店で、昔の青春野球漫画に出てくる「ヒロインの実家(喫茶店)」のような外観。よく見ると店舗の後ろに数台分の駐車場があるので、車を止め一息入れる。

豚カツ2ここに来て中華はない。(後に見た口コミによると)信州豚だという「ロースカツ(並)」(1260円)を選択。メインのとんかつは脂が多いものの胃にもたれるようなしつこさはなく、からっと揚げられた衣にトマトの効いたオリジナルソースもおいしく、サクサクと頂けた。小皿にはご当地名物の野沢菜漬けが盛られ、さっぱりとした絶好の箸休めに。みそ汁も信州みその優しい味と香りに「日本人に生まれてよかった」としみじみ思った。

八幡宮近くには、上田城の鬼門(北東)を守る紺屋町八幡宮が鎮座する。雰囲気が良かったので少し散歩。地元の商工会振興会によると、真田昌幸が1584年(天正12年)、上田城築城の際に、鬼門鎮護のために現東御市にあった八幡神社を現在地へ移した。真田氏以後の藩主も崇敬篤く、藩主自らが参拝したり、社殿の修築再建などには藩の財政を充てたりしたそう。

千曲川お腹いっぱいになった後は、美術館に戻る。やや時間があったので、食後の運動で周辺を散策することに。朝から気になっていた傍を流れる川を調べると「千曲川」だと分かった。新潟県で信濃川(山梨県では桂川、神奈川県では相模川となるように)となって日本海に注ぐ、「日本でもっとも長い川」(367㌔㍍)だ。何か大きい鳥がたくさん飛んでいる。カワウ(漁業被害やフン害で2007年から狩猟鳥)らしい。「美味だれかけると、おいしいのだろうか…?」。

午後はスライドトークを取材。スクリーンに投影される過去の代表作やことしの新作「山鳴りひびく」などについて、遠藤さんから制作の裏話や説明があり、その後ギャラリーに場所を移して参加したファンからの作品や制作に関する質問に答えていた。

いざ上田城へ!。駐車場は有料だが、最初の1時間は無料という、観光地では珍しいと思う親切な設定。地元ナンバーが多く、観光客より散歩に訪れた地元の人の方が多い印象だった(平日ですからね)。

市立博物館まずは上田市立博物館を見学。真田氏に関する資料が本命だが、市内にまつわる近代史や自然・民俗、郷土史の資料なども展示されているので興味深い(にわか歴史ファンとの格の差をみせつける)。地域の主要産業であった養蚕・蚕種業関連の資料のほか、歴代上田藩主(真田氏、仙石氏、松平氏)などの関連資料が展示されている。

上田城上田城の東虎口櫓門の前では、上田城を訪れる観光客を最大限におもてなしするために結成された「信州上田おもてなし武将隊」(信州上田観光協会)の真田幸村殿、猿飛佐助さん、由炎さんと名刺を交換、写真も撮らせていただいた。「相模原には北条氏の津久井城がある。ぜひお越しを」と言うと、幸村殿から「城攻めに行くでござる」と勇ましいお言葉を頂戴した。相模原と上田の交流が図れればおもしろい。

真田氏代々が祀られている真田神社で「帰路の無事」を祈り、社長(仕事、健康)や家族(健康長寿)のためにお守りを授かる。そして自身の必勝祈願。同じく上田城跡公園内にある上田招魂社(戊辰戦争以降の戦争の戦没者を祀っているそう)で再び「帰路の無事」を祈る。

帰路には、動画配信サイト「ユーチューブ」で、「観光物産店や道の駅よりも安くお土産が買える」と紹介されていた「ツルヤ」さんに立ち寄る。スーパーモールのような施設の一角にあり、地元の主婦や家族連れでにぎわう、いわゆる普通の「食品スーパー」だ。ただ、神奈川や多摩のスーパーと異なるのは、長野ならではの食品・食材の豊富さだろう。

野菜のコーナーには、そばの薬味に使う辛味大根やわさびが並ぶ。鮮魚コーナーはコイやイワナ、ヤマメといった川魚が売られている(アユが有名な相模川でも、なかなか食べられない)。新潟や富山にも近いため、海の幸も豊富にそろえている。ブログで「(軽井沢では)別荘族別荘族」と紹介されているのも頷ける。

地酒、ワイン、りんごやぶどうのジュース(300円~400円台)、野沢菜漬け(200円くらい)、八幡屋礒五郎の七味からし、信州そば(200円くらい)など、締めて4500円ほどを購入した。品ぞろえが良く、とにかく安い!。長野に行ったら、ぜひ立ち寄っていただきたい!

「リニアが長野県飯田市を通るじゃないか!」と思ったが、飯田駅から上田駅までだけで5時間程度(4路線乗り継ぎ)かかるそう。現在では相模原から飯田までだけで4時間半以上かかるところ、リニアではわずか27分(甲府での停車時間を除く)に短縮されるのだが、地方では本当の交通利便性が実現されないようだ。

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