19年の神奈川版GDP、実質経済成長は1.4%減/石油石炭製造が大きく衰退


経済計算 県統計センターはこのほど、国内総生産(GDP)の県版に相当する2019(令和元)年度県民経済計算を発表した。実際の取り引き額で算出した名目県内総生産は35兆2054億円で、デンマークやコロンビアのGDPに匹敵する。物価変動の影響を除いた実質経済成長率は前年度比1・4%減で5年ぶり、名目成長率も同0・9%減で7年ぶりのマイナスとなり、名実ともに4年ぶりに全国の成長率を下回った。製造業では石油・石炭製品の減少幅が大きく拡がり、カーボンニュートラルや脱プラスチックへの動きが前倒しになったとみられる。【2022年6月20日号】

県内総生産は実質で34兆9225億円。経済活動別(名目)の対前年度増減率では建設業9・2%、保健衛生・社会事業4・5%増など、16部門のうち8部門で増加。一方、電気・ガス・水道・廃棄物処理業が7・1%減、宿泊・飲食サービス業が5・9%減などとなった。

生産面では、名目県内総生産に県外からの所得の受払い(県内在住者が県外で勤務することにより得る報酬など)を加えた名目県民総所得が41兆4933億円、対前年度増減率は0・7%の減少となった。製造業1・01%減、電気・ガス・水道・廃棄物処理業0・23%減。支出面では地方政府等最終消費支出が2・0%増、総資本形成は3・2%増だったが、民間最終消費支出が0・24%になってマイナスに影響した。

分配面では県民雇用者報酬が2・1%の増加となったが、企業所得(18・9%)と財産所得(0・4%)が減少し、県民所得は前年比0・7%減の29兆5054億円。企業の利潤などを含む1人当たり県民所得は319万9千円となった。増減率でみると、前年度から0・9%減と4年ぶりの減少となった。

産業別では、製造業の総生産額が6兆4364億円で対前年度増減率が5・3%減となった。業種別でみると、輸送用機械がもっとも高く1兆977億円で、対前年度増減率は3・3%の増加となった。増減率では、はん用・生産用・業務用機械が10・4%増、電気機械が5・7%増など、15業種のうちわずか3業種で増加。一方、石油・石炭製品が28・3%減、情報・通信機械が21・2%減など12業種で減少した。

県統計センターの中田均所長は、国内経済について「前半は外需が下押し要因となった一方、個人消費や設備投資等の内需がプラスとなり、全体として増加基調が続きましたが、後半は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減等により個人消費の水準が低下し、さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が生じたことで、内需、外需ともに下押しされ」としている。

県民経済計算は、神奈川県における1年間の経済活動を、「生産」「分配」「支出」の3つの面から明らかにすることにより、県経済の規模や成長率、県民の所得水準、さらには県内の産業構造等を計量的にとらえ、県経済の実態を総合的、体系的に把握しようとするもの。1951年から作成しており、GDP統計と呼ばれる国民経済計算の県版に当たる。

 

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