大和市、不登校児童支援に分教室開設/学校復帰を目標としない環境へ


不登校特例校分教室 大和市は1日、不登校の中学生を対象に社会的自立を支援する、県内の公立校では初となる不登校特例校分教室を「市立引地台中学校分教室」(市柳橋1)として開設した。不登校の生徒が増加傾向にある中、学校復帰を目標としない新たな学習環境とする。分室に所属する生徒は在籍していた学校から転籍し、引地台中学校の生徒となる。【2022年4月13日掲載】

不登校について、文部科学省は「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義している。同市で年間30日以上欠席している生徒数は、2010年に183人でしたが、2019年は238人と増加傾向にある。

市ではこれまで、学校復帰を視野に入れながら、不登校の生徒一人一人の状況に寄り添う支援体制をとってきた。一方、これまで通ってきた学校以外の場で、社会的な自立を望む生徒もいる。そこで、不登校の生徒の選択肢が増えるよう、学校への復帰を目標としない不登校特例校分教室を開設した。

定員は各学年10人で、今春は13人が入室。

分教室は、登校できない日であっても、自宅でオンライン学習やカウンセリングなどを受けることができる体制となっている。一人一人の状況に合わせた柔軟な学習計画のもと、生徒にとって無理のない学校生活を作り出していく。

分教室の愛称は、「WING」(ウイング)。「夢に向かって自分らしく輝き、羽ばたいていってほしい」という願いが込められている。校舎の外観は、夜明けの空の色を表現したオレンジと、大空と大海原を表現した深いブルーのラインが目を引く。内部は、心落ち着くアイボリーを基調とし、淡いグリーンやピンクを取り入れて、リラックスできる空間にしている。

青少年相談室では「個別学習のための多機能パーティションなども整備し、居心地の良い場所となるように工夫している」としている。

開室式には、大木哲市長や吉澤弘市議会議長などが出席。柿本隆夫教育長は「登校にこだわらず自身の興味関心を大切にし、未来へ羽ばたける場所になってほしい」と述べた。

…続きはご購読の上、紙面でどうぞ。