次期最終処分場の候補地4カ所に/相模原市


家庭から出る一般ごみの次期最終処分場の建設候補地について、相模原市が設置した選定審議会(会長=全国都市清掃会議技術部長・濱田雅巳氏)は3月29日、緑区根小屋の2カ所と南区麻溝台の2カ所の計4カ所に選定し、市に答申した。根小屋は周辺の住環境に影響が少なく、麻溝台は運搬効率や周辺施設との連携などが選定のポイントとなった。答申を踏まえ、5月以降に地域への説明や意見聴取(対話)、庁内会議を経て、市が最終候補地を決定する方針だ。【2022年4月10日】

審議会は、廃棄物処理事業を実施している市町村などが共同して設置している全国都市清掃会議の専門家をはじめ、有識者や公募委員で構成している。2021年7月から7回の会合や現地調査などを実施。土地、自然、環境、建設、運搬の5つの観点から評価し、1次候補地9カ所から実現性の低い候補地を段階的に除外していった。

根小屋候補地根小屋の候補地2カ所(5、6)は最高標高差が100㍍規模の急峻な土地で複数の谷が点在しおり、民家などのない山岳部の谷地形という点で最終処分場の用地として適している。相模湖津久井都市計画区域内であり、用途地域の指定はない。

また、県道から最終処分場に向かう搬入道路は専用道路となる見込みであり、災害時において災害廃棄物搬入車両による一般道路への影響が生じにくいと考えた。候補地6については整備に伴い発生する残土量が2次候補地の中でもっとも少ないと想定されるため、整備の容易性や経済性からも適地と考えている。

麻溝台候補地麻溝台の2カ所(8、9)は、相模原都市計画区域内の市街化調整区域。北と南の2清掃工場からの距離が比較的近く、特に主な埋立物(ばいじん、不適物、溶融スラグ)を排出する南清掃工場から近く運搬の効率が良い。南清掃工場や麻溝台リサイクルスクエアなどと連動し、資源循環や廃棄物全般に関する環境啓発を行うなど一体的な取り組みを期待。現在の最終処分場の隣地であるため、施設配置の工夫などで必要な施設を共有できる可能性もある。

一方で、根小屋は搬入道路の整備が必要であるほか、多くの樹木があるため自然環境への影響に配慮する必要がある。麻溝台の候補地8は土地の一部に堆積物が確認される。同候補地9については首都圏近郊緑地保全法の近郊緑地保全区域に指定されており、最終候補地とする場合には法的な整理などが必要となる。

市は1979年に最終処分場の第1期整備地(南区麻溝台)を整備し、翌年4月から供用を開始した。2008年3月に埋立容量に達したため、同年4月から隣接地の第2期整備地を利用している。31年度末までを計画期間として整備したが、ごみの減量化や資源化が進んだことで埋立量が減少しており、37年度中まで利用できる見通し。

答申では「相模原市が衛生的な都市環境や生活環境を確保・維持するために重要な施設。必要性や安全性、審議会による候補地の選定経過などの説明を丁寧に行うことで、理解を得ながら整備に向けた取り組みを進めてほしい」としている。

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