信州大ベンチャー、かながわロボ特区の支援で製品化/足が不自由な人向けに訓練


信州大学発ベンチャーのAssist Motion(アシストモーション)=長野県上田市=は、歩行訓練用ロボット「curara(クララ)」10日に発売を始める。足が不自由な人など向けに適切な歩行トレーニングを提案する機能を搭載している。かながわロボット産業特区の支援を受け、伊勢原市の大山こま参道や高齢者施設で実証実験を行ったこともある。

オンラインで開いた発表会

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クララは歩行に伴う股関節と膝関節の運動を電動モーターの動力で補助するロボット。医療・介護現場ではリハビリ専門職の不足のため、けがや病気後の歩行訓練が十分に行えていないことが開発の背景。スマホの専用アプリと連動することで、訓練内容やレベルの設定などを行うことができる。

ケアマネージャーへのアンケートの結果、介護現場での実用に耐える重さとして3㌔を下回ることが求められた。コントローラーとモーターを改良し2・7㌔まで軽量化した。同社が17年に実証実験で使用した「クララ3」は5・5㌔、20年に製作したプレビュー版(試作機)「クララWR―P」は4・5㌔だった。

片方の足がマヒしている場合のリハビリとして、片側2関節または1関節のみの利用、股関節の2関節のみでの利用も可能。用途に応じて手軽に活用できることを目指し、4関節すべてのフルセット(構造変更可能)と、股関節のみのハーフセット(片側1関節の構造変更には対応。重量は1・7㌔)の2製品を用意した。

「衣服のように着ることのできるロボットの実現」を掲げてクララの開発に取り組んできた。さまざまな体形に対応できるスライド機構を搭載し、体形にフィットする腰ベルト構造も採用。ベルト面テープで固定できるため1人でも着脱でき、利用者自身で歩行訓練や訓練効果の確認・管理も可能となっている。

同社は、ユーザーがクララを利用しやすい購入形態として、レンタル販売を基本とする。価格はフルセットで月額7万3700円、ハーフセットで月額5万2800円。22年5月初旬までの6カ月間はいずれも「新製品発売キャンペーン」として、月額レンタル料を10%引きして提供する。

同社は今後、歩行訓練だけでなく、日常生活における歩行支援などにも利用できる製品開発を目指す。広報は「今後もさがみロボット産業特区の活用や神奈川県との連携を進めていきたいたい。とりわけ、クララの販売にあたって、導入補助金などを活用する予定」と答えた。

【2021年12月1日号掲載】

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