相模原市、次年度予算方針で最大134億の歳出超過/新規・大規模事業を一時凍結


相模原市はこのほど、2020年度予算の編成方針を明らかにした。行政サービスの現行水準も維持できないため、新規・拡充事業の停止や今後本格化する大規模な事業を一時凍結する。20年から27年までの長期財政収支について仮試算を行ったところ、約60億〜約134億円の歳出超過が見込まれる。

財政の状況は、少子高齢化の進行や扶助費の増加などが影響。人件費や扶助費、公債費などの経常的な経費が地方税・普通交付税等の経常的な一般財源に対する割合「経常収支比率」が17年度に98・4%、18年度に98・1%と、依然として高い水準が続くと予測している。

20年度の収支については、地方消費税交付金などの増額などにより増加すると試算するが、約60億円もの歳出超過が見込まれる。歳出で引き続き増加傾向となっている扶助費を中心とした義務的経費の増額に加え、会計年度任用職員制度への移行や、公共施設の長寿命化事業などによる増額が財政硬直化の原因とみている。

市は、市単独事業の扶助費、物件費、各種補助金、繰出金など経常経費を見直すほか、収納対策の強化による市税収入などの歳入の確保。元利償還金に対する地方交付税措置を考慮した市債の発行を行い、改善に向けて取り組む方針だ。市有財産の有効活用も掲げており、不要となった用地は積極的に処分。低未利用財産と長期未着手の事業予定地については、貸付けなどを行う。すでに貸付けている用地は、適正な対価を求めるとともに、減免を行っている場合はその必要性について見直す。

改善に向けては、民間活力の活用にも取り組む。「市PPP(公民連携)活用指針」に基づき、行政の活動範囲以外としたものは民営化や事業の廃止に取り組む。行政が提供すべきサービスについては、民間企業、NPO、市民団体などのノウハウや専門知識を活用したサービスを提供する手法を活用し、サービスの向上や経費を節減する。

麻溝台・新磯野第一整備地区土地区画整理事業や災害復旧事業において多額の経費が生じることも想定され、JR相模原駅北側の在日米陸軍相模総合補給廠の一部返還地における大規模開発を一時停止する。ただし、橋本駅周辺整備推進事業や(仮称)新斎場整備事業など、市民生活に関わる喫緊の課題対応に必要となる経費は計上するとしている。

【2019年12月10日号】

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