麻布大など疼痛緩和期待、「レスベラ」の作用確認/食品の「生体調節機能」


 麻布大学(相模原市中央区淵野辺)はこのほど、ファンケル(横浜市中区)との共同研究で、食品成分の「レスベラトロール」に炎症による痛みを緩和する作用があることを確認した。病的に痛みが続く「病的疼痛」の緩和や治療に期待される。

 麻布大学生命・環境科学部の武田守教授とファンケルの研究グループでは、食品の持つ「生体調節機能」の新たな可能性として痛みの緩和作用に着目。2015年から共同研究を開始した。

 慢性的な痛みを和らげることが期待される「レスベラトロール」は、食品由来のポリフェノールの一種。炎症性の痛みを持った動物に与えた結果、痛みが緩和されることが分かった。また、炎症が起きてから2日目に、1日目より痛みを抑制することができた。

 研究結果は、レスベラトロールを連続して摂取することで、炎症性の痛みを抑制できる可能性を示している。炎症性の痛みの原因となる物質の生成を抑制する。また、神経を興奮させる物質の結合を阻害し、痛みの伝達を抑える作用もある。

 体内で過剰な炎症や神経に障害があると、原因となっている損傷が治癒していても痛みが続き、必要のない病的な痛みが生じることがある。この病的疼通により、日常生活を制限されている人が多いという。基本治療として、薬物治療、運動療法や物理・装具療法などの保存的治療が中心であり、根本的治療法は確立されていない。

 生命・環境科学部の武田守教授は「レスベラトロールが今後、炎症性疼痛の補完代替医療に貢献できると期待している」とコメントした。
(2016年9月20日号掲載)

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