翔工務店、住まいのオールインワン企業を目指す/新築・リフォーム 不動産 空家管理


独自のアイデアを事業に生かす中山社長

独自のアイデアを事業に生かす中山社長

 昔も今も、将来就きたい職業を小学生に問えば、「大工」と答える子がクラスに1人や2人はいる。時代が変わろうと、多くの人にとってマイホームを持つことは夢。そこに関わる仕事もまた、夢のある仕事なのである。

 翔工務店(相模原市南区双葉1の12の24)の中山正太郎社長もそんな1人だが、一職人にとどまらず、工務店経営まで夢を延長した。

 高校卒業後、工務店を経営していた友人の父に弟子入りし、5年間の修行を経て2000年に一人親方として独立。08年に法人化した。

 「当初はずっと大工としてやっていくつもりだったが、財務管理や社会的信用面でのメリットを考え法人化した」と中山社長は打ち明ける。

 工務店経営で創業社長が乗り越えるべきハードルは、他業種より比較的高い。スタート時点から、いわゆる“ジバン・カンバン・カバン”がものをいう業界だからだ。

 「三バンを引き継げる2代目、3代目を羨む気持ちがないわけではないが、自分の意思を通せず自由がきかないという悩みもよく聞く」と中山社長。試行錯誤を繰り返しながらも、自らのアイデア、バイタリティを礎にユニークな事業を展開している。

 「木造戸建て住宅を年間12棟」を当面の目標とする同社だが、創業時から景気には恵まれていない。当世事情には逆らえず、リフォームを基幹としてここまでやってきた。

 ただ、リフォームに依存するあまり、下請け仕事をいとわず価格競争に明け暮れていては、大工の誇り、夢を自ら捨ててしまうようなもの。そうならないために、3年ほど前から進めているのが、住まいに関するオールインワン企業路線である。

 11年、新たに不動産部「ショウハウジング」を設け、その事業所を相模大野の女子大通りに開設。従来の双葉の事業所を工事部のショールームと位置づけ、2拠点化。また昨秋、月1回1万円で換気や通水、建物内外の清掃、防犯等各種チェックを行う空き家管理サービスをスタート。外部委託の塗装も合わせ、土地・物件探しから新築・リフォーム、管理までワンストップで請け負うオールインワンの広い間口を構築した。

 「1人2役3役の何でも屋ではなく、専門医を一堂に集めた総合病院のような存在」と中山社長は自信を持つ。

 だが、目下のところ、ワンストップがフル稼働しているとはいい難い。強固なジバン、カンバンが欠けているのだ。

 それでもかつて9割であった新築・リフォームの下請け受注率が、現在3割未満までに低下。これに伴い、エンドユーザーのリピーター化、口コミや紹介の活発化によりジバン、カンバンは着実に蓄積されていくはず。

 「できるだけ地元の仕事を受注したい。相模原はそれに十分見合う規模の商圏だと思っている」

 38歳。中山社長が次代に引き継ぐ強固な三バンを築く時間は十分ある。
(編集委員・矢吹彰/2015年7月10日号掲載)

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