2012年(平成24年)
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日刊 相模経済新聞


最新の相模経済新聞紙面から、厳選した記事をお届け致します。

10月29日 月曜日

[ テクノフロンテ ]

切削と研磨で差別化

 テクノフロンテ(相模原市中央区田名)が、切削加工と平面研磨加工を組み合わせた技術で差別化を進めている。
 特徴の異なる2つの加工を手掛けている企業は市内でも珍しいという。酒巻利光社長は「組み合わせることで、より高精度に仕上げられる」とアピール。
 プレス機や工作機械などの部品向けに受注活動を本格化させている。平面研磨加工は、素材を砥石で削るもの。  同社の場合、アルミやステンレスなどの非鉄金属の加工を得意としている。
 従来の切削加工では難しいような10ミクロン(ミクロンは1_の1000分の1)以下の加工でも、研磨加工による処理と複合的に行うことで、実現できる。
 同社によると、納期も従来の切削加工と比べると約1割縮められるという。部品加工を委託する企業側からみても、今までは切削加工と平面研磨加工で別々の業者に発注していたのが、同社1社でも請け負えることになる。「手間と全体的なコスト削減にもつながる」(酒巻社長)とメリットを説明する。
 同社では最大サイズで長さ60a、幅30aのアルミやステンレスの加工を受け付けている。
 また、少量多品種にも対応。「航空宇宙産業やロボット産業にも当社技術のニーズはある」(同)と、今後は取引先も増やす予定だ。
 問い合わせは、同社042(762)7741。

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販路拡大に意欲を示す酒巻社長

− 10月 20日号掲載記事より−


10月30日 火曜日

[ 大栄フーズ ]

社員一丸で業績回復 原発事故で工場閉鎖経験

 福島第一原発の事故で主力工場の閉鎖に追い込まれながらも、素早い対応で新工場を設立し、社員一丸で業績回復を進める企業が相模原にある。「中華くらげ」などの惣菜を製造販売する大栄フーズ(南区相武台) だ。懸命な努力により現在全社で東北工場閉鎖前と同レベルの生産量まで回復させた。
                  (澤田 久美子)

早めの対応奏功

 大栄フーズは惣菜など150品目を生産。「中華くらげ」と「とびっこ」はモンドセレクションで金賞を受賞したことでも知られる。
 主力の東北工場は福島県楢葉町。ちょうど原発から20`圏内に位置する。  もともと、同工場は中華くらげを年間2千d生産。供給量の約9割をカバーしていた。それが昨年3月、原発事故により、突然の閉鎖に追い込まれてしまった。
 「工場自体、地震では無傷だったのに…」 震災発生時、東北工場にいた岡康人社長は悔しさをにじませる。
 だが、震災や事故とは関係ないところで進められているのが、企業間のシェア争い。同社の中華くらげは、業界では4割のシェアを誇るだけに、失うわけにはいかない。社員の雇用もある。
 決断を迫られた岡社長は、翌4月から新工場設立に奔走。1億3千万円をかけ7月に横浜工場(横浜市保土ヶ谷区)を急きょ新設した。横浜の工場面積は1980平方b。東北と比べると規模ははるかに小さいものの、相模原工場(南区麻溝台)の生産ラインも急いで改良。中華くらげの挽回生産に着手した。
 他の製品も手掛けていたが「とにかく主力商品の生産量と国内シェア維持を最優先にした」と岡社長。早めの対応が功を奏したという。
 工場閉鎖を余儀なくされた経験から岡社長は「生産設備は離れた場所に分散させなくては、危機管理できない」と強調する。  今、新たな工場設立の検討も始めている。
同社046(266)2200。

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岡社長(前列右) と大栄フーズ本社社員

− 10月 20日号掲載記事より−


10月31日 水曜日

[ ミトリ ]

「紙業務ゼロ」実現 クラウド型ソフト好調

 「紙業務ゼロ」を実現―。 大和市柳橋のミトリが開発したクラウドコンピューティング(クラウド)型のソフト「ストリームライン」が、昨年5月の発売以来、契約数を順調に伸ばしている。
 経費申請や稟議書といった社内文書をクラウド上の社内システムに保管。パソコンで「決済」や「回覧」ができる。  ソフトでは、紙の書式を活かしているのが特徴で、企業のスタイルに合わせてフォームをつくれる。
 例えば、社内で係長が確認すると、「認印」付きの書類が課長宛てに届くなど、実際の書類のやりとりを、パソコンやタブレット上で行うイメージだ。
 企業による情報漏えいの問題が相次ぐなか、石見邦夫社長は製品導入のメリットとして「書類の紛失や、不在による滞りも避けられる」と説明。さらには「紙での業務はすべて移行できる」とする。
 「グーグルアップス」の対応製品。パソコンのみならずタブレット、スマートフォン(多機能携帯電話)など、端末を選ばず使える。契約は利用者1人あたり月額315円。
 システムは順次改良を加えており、先月にはペンタブレットで記入できる機能も追加した。歯科医が、歯型を描いた「書式」上で治療記録の入力に使うなど、すでに活用されているという。
 石見社長は「今年4月、ソフトバンクの孫正義社長が社内業務の紙使用禁止令を出して以降、引き合いがさらに増えてい る」と説明。現在、契約は約150社。従業員500人以上の大企業でも使われているという。
 インターネット上の無料試用キャンペーンに加え、展示会に出展するなどして代理店を募集し、さらなる販路拡大を狙う。
 問い合わせは同社046(267)6071。

− 10月 20日号掲載記事より−


11月 1日 木曜日

[ 相模原市とJAXAなど ]

「宇宙科学研究会」が始動

 相模原市と相模原市産業振興財団などは、JAXA宇宙科学研究所(同市中央区由野台)と地元企業との連携組織を立ち上げる。11月に「宇宙科学研究会」を設立。地元企業の参加を募る。宇宙研が行っている最先端の研究や技術動向を地元企業に伝えることで、同分野へのビジネスチャンスを探る。研究開発に必要な機材や試作品を地元企業に発注できる仕組みも構築する。          (千葉 龍太)

地元企業と連携促進 商談会も視野に

 同財団によると、市内にはJAXAの相模原キャンパスがあるものの、これまでは地元企業との連携を促す組織がなかったという。
 同研究会は、「地元産業界とJAXAをつなぐ場として位置づける」(同財団)とし、約50社の参加を想定する。年3回程度、宇宙研の研究者らが参加し、勉強会を開く。
 今年度内には地元企業との商談会も企画している。「すぐには仕事が来ないと思うが、宇宙分野でのニーズを知ることで、自社の技術がどう生かせるか判断できる」(同)としている。一方、宇宙研にとっても、地元企業に試作品製作などの仕事を発注できれば、納期短縮のメリットが出てくるという。
 第一弾として、今月下旬に宇宙研の研究者を招き、「火星飛行機の研究と研究現場でのニーズ」をテーマにした地元企業との研究会を予定する。同研究会の事務局は、相模原市の第三セクター、さがみはら産業創造センター(同市緑区西橋本、042・770・9119)が担当する。


地元企業のビジネスチャンス発掘につなげる

− 11月 1日号掲載記事より−


11月 2日 金曜日

[ 城山工業 ]

強度6倍を実現 トラスコアパネル実用化

 自動車部品製造の城山工業(相模原市緑区橋本台)は、開発を進めていた新素材「トラスコアパネル」の量産技術を実用化した。
 同パネルは折り紙の原理を応用し、効率よく経済的な構造物をつくる「折り紙工学」をベースに生まれたもの。
 スチールなどの軽量パネルに対し、プレス加工で三角形のくぼみ≠全面に並べる。加工したパネルを重ねることで、強度が波形鋼板の6倍以上に高められるという。今後は工場内での量産体制を構築していく。
 トラスコアパネルの全面にあるくぼみ≠ヘ三角錐の突起物。パネル全面に数多くプレス加工されている。このパネルを2枚組み合わせると強度が飛躍的に増す。これをコア材としたサンドイッチパネルは、ハニカム材と同等の強度になる。コストもハニカムの半分以下で済むという。
 同加工技術は、スチールやアルミ、ステンレス、樹脂など、材料を問わず成形できるとしている。こうした素材を「強くて軽い構造」に変える新技術として用途開拓が期待できるという。板厚が最小で0.3_bから加工可能。
 遮音性能も高いことから、鉄道やバスの床、建築物などへの活用を想定。さらには普及が進んでいる太陽光パネルなどにも強度を高める素材としても利用できる。
 城山工業では5年以上前から同技術の実用化に着手。パネル表面に三角錐を無数にプレス加工することが最大の課題だったという。ただ、同社では試行錯誤の末、3段階に分けてプレス加工。最初は三角錐ではなく、丸い形状を成形。その後のプレスで修正していく方法を編み出したという。


波形鋼板の6倍以上の強度を実現したパネル

− 11月 1日号掲載記事より−


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