2009年(平成21年)
相模経済新聞社
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11月30日 月曜日

[東京国際航空宇宙産業展]
相模原市開設ブースに反響
大手企業やJAXA関係者も訪れる

 東京国際航空宇宙産業展2009が11月4日から6日までの6日間、東京ビッグサイト東6ホールで開かれ、相模原市が13社・団体を束ねたブース「インキュベーションシティさがみはら」を出展、話題を呼んだ。
 主催者発表によると、同展3日間の入場者は2万1821人を数えたが、相模原市ブースは会場中央に位置した関係で特に5日の木曜日が多くの来場者で賑わう一方、出展した大手企業の富士重工や川崎重工そして宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者も訪れ、出展者同士の交流がはかれたという。これに合わせて、市は来春の政令指定都市移行もPRした。

 

[宝化工]
真空・圧空成形機のカバー急伸
受注が増え残業で対応

 宝化工(株) (大和市下鶴間3854—1テクノプラザ大和、石井英治社長)が真空・圧空成形機で製造する医療機器などに使われるカバーの業績を伸ばしている。経済不況のあおりを受けて2〜8月は低調だったが、9月頃から急激に受注が増え、残業するまでになっている。
 同社の主力製品である各種カバーは真空成形(雄型)、圧空成形(雌型)と呼ばれる成形機で作られる。1〜6ミリ幅のプラスチックシート(樹脂)に熱をかけて軟化、それを凸または凹型に押さえつけて樹脂と型の間の空気を下から吸わせて真空に近い状態を作りだし、型に樹脂を密着させて形状を作りだす方法が真空成形。
 一方、圧空成形は真空成形と同時に圧縮空気をかけ、より金型へ密着させる方法で、真空成形同様に多品種小ロット向けの成形として高く評価されている。精度が高い形状が得られ、射出成形にも劣らないシャープさ、形状が得られる。プラスチック原料をドロドロ溶かし金型に入れて固化させた成形品を大量に作る射出成形とは違った製法だ。生産ロットに応じて作れるうえに、金型への投資も比較的低コスト。射出成形に比べて10分の1程度の安さで、しかも600〜800の気圧がかかる射出成形に対し、1気圧しかかからないのも真空成形の特長だ。
 ただ、射出成形は大量に生産するので製品単価は安い。小ロット生産の真空・圧空成形のほうがむしろ高く、このため1台数百万円する医療機器などに使われる。飛行機の座席の肘掛けカバーや病院食を運ぶ配膳車のパネル、業務用炊飯器の操作パネル、保冷車の内装カバー、バイクのオプションパーツなどあらゆる分野で活躍している。
 石井社長は「まだまだ潜在需要があるので、今後も(真空・圧空成形を)メインでやっていくつもり。プラスチック化しようというユーザーも多いので、それに応えていきたい」と話している。

 

[Sia神奈川]
異業種16社が操業開始
高度化資金活用で過去最大規模の工業団地に

 中小製造業を中心にした相模原市内の工場団地としては7カ所目になる協同組合Sia(シア)神奈川(相模原市大野台4丁目、小島秀作代表理事)が11月初めに操業を開始、この竣工式典が10日午前11時から行われた。総事業費約142億円のうち県中小企業高度化資金約107億円を活用して造成したもので、同資金は県内の工業団地で過去最大の規模になる。
 同団地は元ゲイマーぶどう園の跡地を利用して造成、開発面積が約6万3000平方メートル。このうち市道と公園約1万1000平方メートルが市に寄贈され、5万1000平方メートル以上が入居企業16社の工場と組合事務所、緑地帯などになった。また、工場団地としては初めてとされる託児所を設けた。
 この竣工式では事業を推進した県の松沢成文知事、甘利明衆院議員それに小島代表理事、加山俊夫市長、河本洋次商議所会頭らによる植樹式が行われ、このあとの式典でそうした来賓が祝辞を述べ、小島代表理事はあいさつの中で「約3年前から計画を始め、同業種の工業団地がほとんどの中で、異業種が集積した」と語った。
 また、「Sagamihara industrial area」の略称「Sia」の名付親になった建設共同部会長の小林一正氏は「およそ3年にわたる事業で、工場建設にあたっては市内建設業者50社ほどに担ってもらい、地元貢献を果たせた。リーマン・ショック以降、今は中小企業が特に痛めつけられている時期だが、なんとか操業できる環境に至った」として関係者に礼を述べた。
 入居企業はほとんどの工場が鉄骨2階建てで、延べ床面積が約3万平方メートル。建設にあたっては各社が相模原市産業集積方策「STEP50」の助成を受けた。
 ちなみに、市内では相模原市機械金属工業団地とテクノパイル田名内のテクノ相模協同組合が高度化資金を利用している。16社は次のとおり。
 ▽東京フィルムサービス(株)(プラスチック製品)▽笠原特殊印刷(株)(印刷・同関連)▽冨士自動車興業(株)(輸送用機械器具)▽(株)エスエムティ(金属製品)▽協立テストシステム(株)(電気機械器具)▽山路フードシステム(株)(持ち帰り・配達飲食サービス)▽(株)シノテスト(化学工業)▽(株)コスモプリント(印刷・同関連)▽コバヤシ精密工業(金属製品)▽ユーエスディ(株)(電気機械器具)▽ラム・インターナショナル日本(株)(輸送用機械器具)▽ケミカル電子(化学工業)▽ワッティー(株)(機械器具卸売)▽フェイス(株)(電気機械器具)▽野村産業(株)(石油・鉱物卸売)▽(株)不二ダブリュピーシー(金属製品)

12月1日 火曜日

[相模原市議会新政クラブ]
マニフェスト大賞でノミネート賞受賞

 地方自治体および議会のマニフェストなどを選考しグランプリを贈る今年で4回目のマニフェスト大賞審査委員会(委員長、北川正恭早大教授・元三重県知事)による最終審査の結果の発表が11月6日に行われ、地方議会の部で初めて応募しノミネートされた相模原市議会新政クラブ(久保田義則会長)がグランプリを逸したもののノミネート賞を受賞した。
 同大賞には①グランプリ(議会)②同(首長)③優秀成果賞④最優秀アイデア賞⑤ベスト・ホームページ賞⑥マニフェスト推進賞⑦地球環境政策賞(首長)⑧同(議会)の8部門があり、応募は回を重ねるごとに増え、1回目が221件、2回目が547件、3回目が971件とほぼ倍々の勢いで、今回が1539件を数えた。
 このうち新政クラブが応募したのは冊子で出した①政令指定都市さがみはらのマニフェスト②2008年度に行った市政にかかわる市民アンケート報告書③2009年度予算要望書の3点で、ノミネートされるにあたって北川委員長は、「2010年4月に政令指定都市移行を目指す相模原市のあるべき姿やそこで相模原市議会が果たす役割を明らかにし、市民アンケートの取り組みでは、約30万部を新聞折込みや手配り等で配布し、1000通をこえる回答を集めて市民ニーズをとらえる会派の取り組みとしては、他に類がないほどの努力である。政策提言、市民ニーズの把握、行政への提言を体系的に取りまとめ、文書という形で発表している点は、『議会の見える化』のひとつのモデルになろう」と評価した。
 これを受け同クラブでこの応募にあたった須田毅議員は、「市議会議員52人の中で我々16人のクラブが久保田会長をはじめ一致結束して政令市になる前にそのあるべき指針を示す一方、議会改革にも言及した点が評価されたものと受けとめている。1539件のうちの1つになったのは海に石を投げ、その波紋を我々が広げたと思っている」と話し、今後もマニフェストを毎年精査したうえでリニューアルしていく考えを示した。
 ちなみに、地方議会でグランプリを得たのは京都府議会民主党議員団で、首長グランプリは藤沢市の海老根靖典市長が受賞した。

 

[相模原グリーンロータリークラブ]
「宇宙からの伝言」をテーマに的川氏が講演
市民会館で

 相模原グリーンロータリークラブ(中央3—12—3)は11月30日午後6時30分から相模原市民会館大会議室で「日本の宇宙活動の語り部」「宇宙教育の父」と称される的川泰宣氏を講師に迎え、「宇宙からの伝言」をテーマにした講演会を行う。
 的川氏は東大大学院工学研究科航空学科専攻博士課程修了後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)教育・広報統括執行役などを歴任、現在はJAXA技術参与、NPO法人「子ども・宇宙未来の会」会長などを務めている。
 入場無料で、定員になり次第締め切るが、同クラブの福山茂幹事が電話090—8689—1699、FAX042—756—8352で申し込みを受けつけている。

 

[県施策]
「インベスト神奈川」後の意見募集

 県は県内への製造業の企業誘致策「インベスト神奈川」が今年度で終了するのに伴い、今後も引き続いて企業誘致に取り組むため、その施策にかかわる意見の募集を11月2日から開始、12月1日まで受けつける。
 「インベスト神奈川」は2005年度から五年間を期限に展開、今年10月末までに150件を超える県内投資を実現した。これにより、今後も引き続き企業誘致に取り組む必要があるとして意見を募るもので、商工労働部産業活性化企業誘致室が対応する。電話045—210—5573。

12月2日 水曜日

[伊勢丹相模原店]
「エコール・ド・シモン人形展」
12月16日から

 伊勢丹相模原店は12月16日から24日まで本館6階のアートギャラリーで「エコール・ド・シモン人形展」を開く。人形作家の四谷シモンは、12歳で粘土やぬいぐるみの人形を作り始め、29歳のとき、ハンス・ベルメールの人形の写真を見て衝撃を受け、24歳のとき、渋沢籠産によるオマージュにちなんだ等身大の人形「未来と過去のイブ」12体を陳列した第1回個展を開き、全て完売し話題を呼んだ。そして34歳で人形学校「エコール・ド・シモン」を開校した。今回はそのシモンの作品に加え、エコール所属作家の作品約60点を展示、人形の大きな瞳が観る者に語りかける。12月20日午後2時に来場、ギャラリートークを行う。

 

[京浜金型製作所]
ダイカスト鋳造用金型の需要が上向き
高精密にシフトへ

 (株)京浜金型製作所(大和市深見西2—7—1、秋山金一社長)が製造するダイカスト鋳造用金型の需要が上向いている。取引先の鋳造メーカーの業績が伸びているためで、九月まで低調だった受注が10月頃から増えだしている。ただ、今後さらに増えるかどうかは不透明で、先の見えない厳しい情勢が続いている。 
 同社はダイカスト鋳造用金型の設計から製作までの全てを行っており、特に自動車関連の金型は全体の6割まで占めている。照明器具など弱電関連でも供給し、同社の主力製品になりつつある。
 電気自動車などに使われる軽量のマグネシウムダイカストもメイン商品で、ほかにコンピューター、ОA機器、光学測定器、住宅関連、文具、玩具などあらゆる分野で使われている。型締力は50トンと小さなものから最高1500トンまでの鋳造機を有しており、あらゆる金型製造に対応している。  これまで数万点にも及ぶ金型を作っており、その技術の高さ、精巧さに評価は高い。最後の仕上げの部分は人の手に頼らざるを得ないため、10人の金型技術者を擁している。
 これまで鎖国状態だった金型が中国に活路を求めて、現地生産する国内メーカーが増えている。大和市内の金型メーカーが中国で生産するケースはないが、中国産の安い金型との競争がすでに始まっているという。
 中国は日本に比べ人件費が安いため、低コストの金型ができる。日本から機械を持っていき、現地生産するメーカーもある。値段が安いため、調達する企業も多く、例え受注したとしても「中国の価格でやってほしい」というメーカーが多く、安い価格でないと受注するのが難しい状況にもなっている。
 ただ、品質で劣るため、精巧にできた国内の金型を使用する企業はまだ多いが、人件費に応じて製品も高くなるため、業界では90年代から中国に横流しされた金型図面によって安く製造されて受注が減少。従業員10人以下の零細企業が国内では8割を占めるため、今回の経済不況も加わって倒産、廃業に追い込まれるケースも増えている。
 秋山社長は「精密度が高い金型を作る特殊な技術を持っていればいいが、普通の技術であれば中国でも対応できるので、受注するのは難しい。国内でしか作れない高精密な金型を作っていかなければ今後は厳しい」と気を引き締めている。

 

[オダサガ管理組合]
12メートルのクロガネモチと
9メートルのヤマモモを植樹

 相模原市が市街地再開発事業を行った小田急相模原駅北口の駅前広場に再開発棟「ラクアル・オダサガ」の管理組合(太田仁理事長)が高さ約12メートルのクロガネモチと同9メートルのヤマモモを植樹、このうち中心部のクロガネモチが市に寄贈され、この植樹式と贈呈を受けた市から同管理組合への感謝状の贈呈式が神事をまじえて11月9日午前11時すぎから現地で行われた。
 このうちクロガネモチは駅前広場中心部、ヤマモモは県道スクランブル交差点前に植樹された。

12月3日 木曜日

[小田急電鉄]
レンタル収納「小田急クローゼット成城」を開設

 小田急電鉄(株)(東京都新宿区)は12月2日、直営のレンタル収納スペース「小田急クローゼット成城」を開設する。
 小田急線祖師谷大蔵駅〜成城学園前駅間の高架下(世田谷区)に建設した施設を1・5平方メートルから8・98平方メートルに区切り124室を設けたスペースで、営業中は管理人が常駐し、24時間監視の防犯カメラや警備会社のセキュリティシステムを導入、温度、湿度を管理する空調設備も完備、専用駐車場も設けた。利用料金は月額税込み9450円から5万1450円。
 同社は同クローゼットをこれまでに豪徳寺、経堂、千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵、狛江、黒川の六施設開設しており、あわせて1722室が100パーセント利用されているという。同社は複々線化事業に伴い高架下空間にこれらクローゼットをはじめ商業施設や駐輪場、駐車場などを展開している。

 

[相模原商工会議所]
「お店大賞」で8店を表彰

 相模原商工会議所による今年で6回目の「お店大賞」の受賞店が決まり、11月16日にこの表彰式が行われた。
 飲食と小売・サービスの両部門で市民が推奨する投票を行い、それを踏まえ選考委員会が10月30日、両部門各四店の計8店を選んだもので、投票数は6061票で過去最高を記録した。
 大賞を得たのは飲食が①イタリアンガーデン(イタリアン、相模大野3—20—5)②ティファ(洋食、橋本6—7—7)③天好(天ぷら、上溝6—3—2)④メルカート(イタリアン、中央5—1—2)、小売・サービスが①プリエ(ケーキ、西橋本1—20—19)②文盛堂(文房具、千代田6—1—18)③ボナペティ(パン、東林間3—19—7)④山田商店(鮮魚、上溝3—20—5)の計8店。
 その総合評価でイタリアンガーデンは「昭和35年創業で、店舗の外観や内装を変えずに定番品を提供していく営業スタイル。女性や年配客から根強い人気を誇る」、ティファは「営業36年の洋食店で、カニクリームコロッケを中心にしたセットメニューは価格以上のボリューム感で主婦にも人気」、天好は「営業33年になる専門店で、鮮度の良い素材を市場から直接仕入れ、丁寧な仕込みでおいしく揚げる仕事が受けており、口コミで客が来る繁栄店」と評した。
 また、文盛堂は「1万アイテムもの品揃えやきめ細かいコピーサービスなどで客の問い合わせや期待に応えている」、山田商店は「相模原市中央市場から仕入れる約50種類にも及ぶ鮮魚を顧客の要望に合わせて3枚おろしや下ごしらえ、盛り合わせなどを行い、毎日売り切る」と評価した。

 

[とぴっくとーく]
相模原市副市長の小星敏行さん
「産業集積推進に注力」

——就任にあたっての所感を。
 「市長に選任され、議会の同意を受けた重みを強く感じています。市長の考えに基づく施策の実行に努め、市民サービスの向上につながるよう誠心誠意職務を果たしていきたいという気持ちでいっぱいです」
——具体的な仕事の内容は。
 「環境経済、都市建設の分野を担当することになりました。政令指定都市への移行が決まり、しっかりと都市基盤の整備を進めることが必要な時期ですので産業創出に努め、企業に選ばれる都市としてさらに発展させていきたいと考えています。工業立地促進を目的にした現行のステップ50は来年3月までとなりますが、引き続き産業立地を促進する手法を検討する必要があると思います。また、合併で水源地と都市部が一体になった本市にとって環境も重要な分野です。水と緑豊かな地域は市民にとっての潤いの地域であり、観光振興の拠点でもあります。市にとって貴重な自然資源を生かす施策を展開していくべきだと思います」
——仕事をする上で大切にしたいことは。
 「まず市民の声をしっかり聴くことですね。市政懇談会などでいろいろな意見、要望に耳を傾けていきます。地域特性を生かしながら市の一体性を高め、地域格差が生じないような施策を実行していくことや、市民への情報発信を活発に行い、議会の考え方も尊重しながら市総合計画を踏まえた施策を進めることが大事だと思います。大きい視点から言いますと、市の高いポテンシャルを見すえ、見晴らしがいい将来を切り開くため産業集積を積極的に進め、市長が掲げている首都圏南西部の広域交流拠点を目指す施策を支えていきたいと思います」

12月4日 金曜日

[厚木基地周辺]
防音工事進まず、住民不満
7市で2万世帯が待機

 厚木基地周辺の住宅防音工事を希望する申請者が増大し、工事がなかなか進捗していない実態が明らかになり、住民が不満を募らせている。
 南関東防衛局(横浜市中区北仲通5—57)によると、今年3月末日までに工事申請をした大和市内の約8000世帯が未着工のままで、相模原、座間、綾瀬など基地周辺の7市を合わせると約2万世帯が待機の状態にあるという。
 工事の「希望届」を提出してから、国の現地調査(居住状況等の確認)などいくつか審査を受けて工事着手となるが、早くて1年、遅くて3年は待つという状況で、「3年前に申請を出したのに、なぜ(工事を)やってくれないのか。遅すぎる」などと多くの怒りや苦情が寄せられているという。
 1980年12月31日までに建設した住宅が対象で、高齢者(65歳以上)や未就学児童、心身障害者、長期療養者が居住する住宅を優先的に行っているが、1986年9月10日までに建築されたものでも、同様の順序をとっている。
 工事は1、2回と分けて行われるが、初回は2室以内が対象で、2回目は世帯人数に応じて5室を限度として実施する。
 大和市内では2008年度末までに約8万2000帯分の工事が終了しているが、今回の8000世帯は新規で申請した世帯だけでなく、2回目を希望する世帯も含まれているという。
 工事にかかる費用は事務経費も含めて国が全額負担するが、限度額が設けられている。それを超えた金額や本人の都合で材料等をグレードアップした場合は自己負担となる。
 部屋数に応じて限度額が決まっており、例えば最も大きい部屋5室で850万円、最も小さい部屋1室で150万円。
 民間マンションや市営、県営住宅も対象になっており、実施するには設計および工事監理を行う設計事務所、施工業者と契約する必要があり、自分で選定する。工事終了後、国が完了確認した後に代金を請求できる。工事は平均で約2カ月かかるという。

 

[トップセールスに挑む]
(有)長尾企画の長尾達興さん・由里子さん
販促グッズの製造、販売で堅調な業績

 わが国でティッシュペーパーが普及し始めたのは東京オリンピック(1964年)の頃からで、ほぼ同時期にポケットティッシュも発売された。1968年には紙製造が盛んな高知県で広告用ポケットティッシュの製造機械が考案され、1970年代から本格的に始まったポケットティッシュの販促物としての利用は今日に至るまで続いている。
 (有)長尾企画(相模原市淵野辺3—4—1)は、ポケットティッシュやウエットティシュ、BOXティッシュなど販促グッズの製造、加工、販売を手がけている。高知県出身の長尾達興社長は県内の工場で製造された紙製品のセールスに長く携わり1996年、同社を設立した。デザインや文章構成などにも精通している。
 「販促グッズとしてのポケットティッシュの長所は、安く大量に作れることと、確実に宣伝効果があること」と長尾氏。代理店を通じた注文に応じて出身地にある旧知の工場に数千、数万、最も多いものでは100万個の製造を発注する。
 オイルショックのときには工場に発注してから品物が届くまでのわずかな間に紙の相場が2倍に跳ね上がったこともあったし、バブル期の建設ブームのときは不動産企業からの注文がひきも切らなかったこともある。だが、かつてはボーナス時期に必ず大きな注文が出た金融機関も最近は経費節減で注文量が少なくなっている。景気の動向を映し出す商いの一つには違いない。
 それでも、店舗オープンや各種イベントのPRに無くてはならないグッズであることに変わりはなく、長尾さんと二人三脚で会社を経営する由里子さんは「今は全般的な業種からソコソコ注文が来ている」と話す。
 その中でも確実な『得意先』は自治体。毎週どこかで選挙があり、投票を呼びかけるためポケットティッシュやメモ帳、ノートなどを配布する選挙管理委員会は少なくない。長尾企画はこれまで約百の自治体の選管に納品した実績がある。統一地方選のときが最も忙しく、国政選挙がある年は受注量がさらに増える。  その一方、長尾社長は「ほかの産業と同じ様に、この業界も流通経路が変化している。代理店や問屋経由でなく、ネットを通じて直接注文を受けるケースが増えている」と業界の様変わりを強調する。イギリス在住の下九沢出身の女性から「焼き鳥店を開くので十万個作ってほしい」という注文を受けたのは典型的な事例。ただし、「製作代より送料の方が高かった」と同社長は苦笑する。
 今後も初取引の相手が増えそうな様相だが、「いちばん大事なのは次の取引につながるだけの信頼をかちとることだと思う。どんな仕事でもできるだけ丁寧にお客さんの希望に耳を傾けながら対応し、次につながるように努力している」と2人は口をそろえる。街頭で配られるポケットティッシュ1個にも、取引先の信頼をかちとろうと努力する人の思いが込められているのだ。

 

[とぴっくとーく]
大和市教育委員会教育長の滝澤正さん
思いやりと規範意識を

——市学校教育の現状をどう認識されていますか。
 「様々な課題が山積しており、学校と教育委員会が車の両輪となっていじめや不登校などの問題に対処しなければなりません。先日、不登校をテーマにした教育フォーラムを開催し、体験発表などを通して改善への手がかりを探る試みを行いました。いじめについては小中学校間の交流と連携を深め、子どもたちが楽しく学校へ通い、自分の居場所を確保できるよう努めていきます。新型インフルエンザの影響については、子どもの命と健康を最優先にして対処していく考えです」
——今の教育には何が大切でしょうか。
 「コミュニケーション能力と道徳教育による規範意識の養成が大切だと思います。人への思いやりを持ち、友だちに寄り添う関係を築くということですね。そのための施設整備の一環として今年、2つの小学校の図書室を整備しました。子どもたちが喜んで読書に親しんでいます。読書を通じて子どもたちの心が豊かになり、友だちと心通い合う関係を作ってほしいですね。また、子どもたちの心に公徳心や規範意識を育てるためにも大人が手本となるような地域社会を作らなければなりません。大和には大人と子どもが一緒に参加する文化の土壌があり、地域と学校が連携して子どもの安心安全を守る意識も強いと思います。これを大切にしていきたいですね」
——抱負をお聞かせ下さい。
 「子どもたちの生きる力をしっかり育む考え方は第8次市総合計画にも盛り込まれており、これを指針としながら教育委員会として何ができるかを考え、学校の先生が気概を持って教育活動を行える環境を整えていきたいと思います」

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