くらげ雑貨店、ワークショップと完成品販売で着実に成長/UVレジンのハンドメイドクラフト


長年の夢を実現しつつある高松店主

長年の夢を実現しつつある高松店主


 「大人になったら店を開きたい」
 幼心に漠然と思い描いた夢。ある日、親に連れられ出かけた横浜港で目にしたくらげが妙に印象に残った。

 UVレジン(紫外線硬化樹脂)を使ったハンドメイドクラフト事業を展開するくらげ雑貨店は、高松幸子店主のそんな思いが結実したもの。

 そこに建物としての店はないが、彼女に満足感はある。夢のままで終わるはずだったものが、ひょんなことから実現の途に漕ぎ着けられたからだ。

 ブライダルグッズを扱う企業に造花等を製作するアルバイトとして入り、社員登用された後は、ウェルカムボードやリングピローのデザイン、プロデュースに従事した。

 特に目的もないまま、4年ほど勤めて退社。とりあえず生活のために、緊急雇用で企画職を求めていたSIC(さがみはら産業創造センター)に就職した。

 起業を志向しての再就職ではなかったが、日々仕事をともにするのはインキュベーションマネージャーやアドバイザーら起業のプロフェッショナルたち。加えて、入居企業の社長は創業者ばかり。周囲に感化されアドバイスをもらううちに、忘れかけていた夢に向けて起業を決意した。

 2011年、まずは準備を兼ねて事業計画書を作成し、相模原市が実施しているチャレンジショップ支援制度に応募。見事入選を勝ち取り、翌12年11月、開業した。

 基幹事業の一つは、参加者を集めてのハンドメイドクラフトのワークショップ。カフェ金花茶(相模原)、ナルコカフェ(相模大野)、はこの和(東林間)の3店に間借りする形で定期開催するほか、県内、都内各地で企業や団体からの依頼を受けての出張ワークショップを開催している。

 もう一つは、ネックレスやピアス、イヤーカフなど、高松店主自ら製作したオリジナルアクセサリーの販売。ネットショップを主体に、イベント出展を通しての新作発表を兼ねた直販も市内各地で実施している。

 開業して2年余り。無店舗経営を前提とした事業を地道に展開し、ワークショップも完成品販売も着実に売り上げは伸びている。ただ、周囲から「予想より成長スピードが速い」と評価される一方で、個人事業としての限界、課題も見えてきた。

 「ワークショップは常連参加者から講師を募り育成して、活動の場を広げたい。完成品販売は3年以内に自社サイト直販に1本化したい。それには、製作をサポートしてくれる人材が必要」と高松店主。

 法人化や店舗販売は当面の計画になかったが、成長スピードや将来性を考え合わせると検討する必要に迫られつつある。

 そんな中、このほど相模大野コリドー通りのレガロビル内にレンタルボックス風の常設の展示・作業スペースを確保。今月15日から営業している。

 事業は第二段階に入ったようだ。

 問い合わせは、同店090(4710)3967まで。  (矢吹 彰/2015年1月20日号掲載)

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