相模原青年会議所、自立した相模原の創造目指す/独創性で活気あるまちへ


「相模原をよくしたい」と話す佐々木理事長

「相模原をよくしたい」と話す佐々木理事長


 真に自立した相模原の創造を目指して―。相模原のまちを盛り上げようと市内在住・在勤の若者たちが集い、様々な地域貢献活動を行う市内最大の青年団体がある。相模原青年会議所(JC)の第49代理事長・佐々木亮一さん(38)は、そうした異業種のメンバー約160人を束ねるリーダーだ。仕事は家電製品の販売・電気工事を行うライト(中央区中央)の専務取締役。「このまちをよくしたい」と真剣に語る、若きリーダーの挑戦は続く。
(本橋 幸弦/2014年10月1日号掲載)

 ■相模原育ち

 佐々木理事長は、中央区中央の出身で、姉と妹の3人兄妹。小・中学は野球に没頭し、センターやセカンドを務めた。高校の時、友人から誘われた軽音楽部ではドラムを叩き、ロックに熱中した。
 実家は、三洋電機から独立した父が営む家電販売店。小学生の頃から跡取り息子として、配達などに連れて行かれた。
 「いつかは自分が父の仕事を継ぐのだと、幼い頃から漠然と思い描いていた」という。
 高校卒業後は、修行のため三洋電機の販売大学に入社。大阪や神戸など、全国の三洋電機の協力店に配属され、現場仕事を学んだ。1年半ほどのサラリーマン経験を経て、家業に就いた。

 ■JCに入会

 JCに入会したのは23歳。取引先のお客さんから紹介されたのがきっかけだった。
 26歳で委員長になり、「オープンミュージアム」という大きなイベントをを任されることになった。
 市内のアーティストたちの絵画や音楽、彫刻などを、祭りのように多くの人を集めた屋外で発表させた。美術・芸術に取り組む学生がメーンで、「プロの卵」も参加した。
 会場の相模原中央公園(南区中央)には、1万5000人もの来場者が詰めかけた。
 JCは20歳から40歳までの地元青年経済人の集まり。「周りが先輩たちの中で企画を運営しなければならない立場で、組織の中での立ち振る舞いを覚えた。成功するのかというプレッシャーもあった」と振り返る。

 ■理事長就任

 入会から15年目になる今年、理事長に就任した。JCの活動は1年ごとの単年度制で、任期は1月から12月までの1年間。運営費はすべてメンバーからの会費で、年間予算は2000万円を超える。その年の活動は、すべて理事長が年初に発表する「理事長所信」と「事業計画」に基づいて行われる。
 今年41回目となった「相模原市民桜まつり」は毎年、JCの理事長が「実行委員長」を務めるのが慣例だ。
 「今年は市政60周年の節目となる開催だった。〝自分たちのまちは、自分たちでよくしていこう〟という思いを伝えたかった。そのためには、多くの人たちに相模原への関心を持ってもらうことが必要だった」
 まつりのなかで、AKB48の人気曲「恋するフォーチュンクッキー」を使い、自由参加でダンスをするイベントを開催。市民ら2000人が飛び入りで参加。まつりを大いに盛り上げた。
  
 ■奇抜な発想

 今年8月には、「第1回流しそうめん世界大会」を開催した。2027年に開業予定のリニアモーターカーを、流れる麺になぞらえた企画だ。
 流しそうめん世界最速を目指すチャレンジも行なわれ、昨年京都府で記録された世界記録時速36キロメートルを超え、時速40キロメートルを記録した。
 「このイベントの目的はシティーセールス。内容は馬鹿ばかしくてもいいので、とにかくメディアに多く取り上げられ、〝相模原〟の名を露出させることが目的だった」
 この奇抜なイベントは佐々木理事長の狙い通り、新聞や雑誌、NHKを始め多くの民放テレビ局が放送し、当日はTBSラジオの生中継も入るなど、多数のマスメディアに取り上げられ、「相模原」の知名度アップに貢献した。
 また9月には、淵野辺公園を会場に「さがみはら秋の大市民まつり」を開催した。
 相模原の「新たな魅力を発見する」ことがコンセプトで、地元の名物料理を一堂に出展させ、来場者の投票でナンバーワンを決定する「S―1グランプリ」を行った。
 また、「地元メシ」と題し、自治会連合会の全面協力で、各自治会が推薦する飲食店が出店するエリアも設けた。
 来場者数は、約5万5000人で、淵野辺公園で行われたイベントで過去最大の動員だった。
 「今年は〝協働〟をテーマに、多くの地域団体と連携し活動している。そのなかで、〝このまちをよくしたい〟と思っている方が、本当に多くいることに気付かされた。このまちには、まだまだポテンシャルがある」と話す佐々木理事長。
 人口減少や大都市と地方の格差の問題が全国で切迫するなか、行政にはない突き抜けた発想で、わがまちを活性化しようとする、こうした市民の取り組みが、今後の社会を乗り切る力となる。
 理事長としての任期は残すところ3カ月。挑戦はまだまだ続く。

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