クックレインボー、品質 機能を高度に兼美した独創的製品ながら 販促が課題/圧力調整鍋の製造・販売


「販促の積極展開を目指す」と五十嵐社長

「販促の積極展開を目指す」と五十嵐社長


 「はじめちょろちょろなかぱっぱ…」と聞いて意味が分かるのは若くても50代、実体験として理解できるのは高齢者世代だろうか。

 家庭用炊飯器が誕生して既に60年近く経つ。クルマやカメラ、電子機器等の陰で目立たないが、各社がしのぎを削り進歩を重ねた日本の炊飯器の高性能ぶりは海外でも折り紙付きである。

 クックレインボー(相模原市南区相模台4-2-23、五十嵐誠社長)は、そんな時代にあえて、「はじめちょろちょろ」のイメージを高効率に実現する独創的な直火炊飯用の圧力調節鍋を開発・販売している。

 一般に高価な鍋は容器部分にポイントがある。同社の製品も、底面から側面まで熱をムラなく迅速に伝えるべく、容器は全面アルミ芯三層構造だ。

 しかし、それ以上に重要なのが蓋。最高級ステンレスの無垢材を加工した重量感のあるもので、つまみの下に「クックハット」と呼ばれる特許の圧力調整弁を備える。鍋内が沸騰しても蓋がカタカタと振動しない重さに設定するとともに、鍋内の圧力に応じて調整弁が作動し余分な煮汁や蒸気を逃がし、吹きこぼれや飛散を防ぐ。

 炊飯時間はわずか21~22分。澱粉成分の変化により御飯のうまみが最も出る鍋内温度、時間を研究しての成果だ。

 もちろん炊飯以外の調理にも使える。圧力鍋のようにパッキンやレバーで蓋と容器を密封する複雑な構造ではないため、調理中に蓋を開けることも問題ないし、洗う手間も普通の鍋と変わらない。

 このユニークな製品を開発したのは、同社の創業者にして現オーナーの安村誠一郎氏。普段から様々な技術分野に好奇心旺盛な同氏だが、この製品のアイデアは、40年間住宅設備機器メーカーのガス器具修理サービス業に携わってきた経験から生まれた。

 「蓋の重さと圧力調整弁を可動させるバネの反発力の適正値を見つけ出すために何度もテストを繰り返し、開発に4年かかった」と振り返る。

 2011年の創業から3年。昨年度は相模原市のトライアル発注製品にも認定された。

 15年の長期保証とともに確かな品質、機能を持った製品だけに、販売実績も順調と思いきや、実のところ、まだ奮闘中といったところなのである。

 現在、大手百貨店や専門小売店、インターネットや電話での通販といったルートで販売を展開しているが、百貨店や小売店はチェーンでの取り扱いではなく、いずれも個別店舗での扱い。また、洗練された外観デザインにもアピール度はあるが、1点2万円前後の価格を考えると、実物に触れないでの通販は少し分が悪いようだ。

 「代理店等を通じて販売店舗を一店でも増やしていくことが重要だが、イベント等を通じて消費者にダイレクトに働きかけたり、口コミを広げるための広報活動も併せて積極展開していきたい」と五十嵐社長は話している。(矢吹 彰/2014年6月1日号掲載)

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