本格的な夏到来を前に、相模原など地域の中小企業が「冷感グッズ」の販路を開拓している。景気の先行き不透明感が残るなか、少しでも商機拡大につなげようと、知恵を絞った自社商品を続々と開発。今夏は昨年に比べても暑くなるだろうとの予報もあり、今後の市場拡大をにらんでいる。頭巾や布団、保冷枕…。どれも独自性に富んでいる。各社の動向を追った。 (松山 祐介)
空調服を手がけるメドウニクス(大和市大和東)。同社では、溶接工用の「エアー頭巾」の販売を始めた。
屋外や冷房の効きにくい工場内では熱中症の危険性が高まる。同商品は、頭巾に小型ファンを取り付けヘルメットや帽子内にこもった熱を逃がす。
販売からわずか2カ月余りで、年間の販売計画の2・5倍にあたる1000個以上の注文が寄せられた。
今川悟社長は「まさに、うれしい〝誤算〟といえる」と生産対応に追われる。
横浜地方気象台が発表した6~8月の3カ月予報によると、今夏の平均気温は「平年並み」と「平年より高い」を合わせると80%で、昨年以上に熱い夏になることが予想される。
羽毛布団を製造する東洋羽毛工業(相模原市中央区淵野辺)は、冷感寝具「みあさシリーズ」を展開する。
敷きパッドとブランケット、掛け布団で構成される。いずれも通気性と吸汗性に、優れた素材「麻」を使用している。
ブランケットは、昨年の2倍にあたる1000枚の販売を目指すという。
冷感グッズの販売に異業種から参入する企業も出てきた。
パッケージ加工を手掛ける、相模樹脂工業(南区麻溝台)、植物成分100%の保冷枕「氷結枕」の本格販売に踏み切った。工場では、生産体制も整えた。
同商品は、樹木や葉など植物由来成分の乾燥ジェル「エイジージェル」を吸水剤に採用した。保冷効果は10時間以上。原料に植物由来の成分を用いたことで、環境配慮性を実現した。
浅沼和光社長は「病院や介護施設などに売り込み、今季だけで2万個を販売したい」と意気込んでいる。