2027年3月末で淵野辺公園の市立銀河アリーナ(アイススケート場・水泳プール)=中央区弥栄=を閉鎖する相模原市はこのほど、民間主導によるアイススケート場の設置・運営の可能性について検討するため、利用ニーズ分析をもとに事業手法評価や整備候補地評価などを最終報告としてまとめた。市の財政負担が生じない民間が施設を整備・所有する独立採算制ではハードルが高いことを確認した上で、相模原麻溝公園を有望な整備候補地として示した。民間の参画が確保できる市負担額の精査、従来と比較したコスト削減の効果等の妥当性の検証を進める。【2025年5月20日号】
同公園は鉄道駅からのアクセス性に懸念や課題があるものの、すでに近隣に公園やスポーツ施設が整備されていることで、道路拡幅や駐車場の確保など周辺環境の整備を最小限に抑えられる点で評価された。ただし、利益性が高くない立地であり事業収入のみでは建設費の全額回収が困難な可能性がある(市の一部負担が必要)。
市は、同公園を整備候補地に挙げた理由について「できるだけ早期に事業化を行うことが重要であり、市街化調整区域であるが相対的な敷地条件での制約の少なさや事業化までのスケジュールを踏まえた」としている。
公園内では、少年スポーツやグラウンドゴルフなど多目的で使用する「スポーツ広場」(クレー、約75×85㍍)、または少年サッカーやラグビーの練習などに用いられる「スポーツスクエア」(人工芝、約118㍍×62㍍)を想定している。
次点として比較的制約条件が少ないという相模原北公園(緑区下九沢)、交通利便性が良い鹿沼公園の順に候補地を挙げている。鹿沼公園は近隣住環境への騒音や自動車交通への影響で除外され、駐車場容量の点でも相模原麻溝公園と相模原北公園が優位となった。
同公園で事業を実施する場合は、「緑あふれるスポーツ拠点」としてスポーツ振興・健康促進、シビックプライドの創出、子どもの夢の実現、豊かなスポーツライフの実現などをコンセプトとすることが考えられている。
整備から30年以上が経過した銀河アリーナは、運営費用に加え、施設維持のための改修費用が必要となるため民間移管は難しいとの見方。ことし2月の中間報告でも、立地や敷地規模などの条件や法令上の制約があるほか、独立採算制の事業は実現のハードルが高いとも示されていた。
民設民営による独立採算制は中間報告同様、「ハードルが高い」とし、①民間による施設建設後に所有権を市へ移転する「PFI方式」②民間が建設後に市に寄付(負担付寄付)―の2つが「実現性が高い」とみる。PFI方式よりも、負担付寄附のような手法の方が民間の提案の自由度が高く、「建設コストを抑えられる可能性がある」と指摘する。
官民連携により整備する場合、契約から着工までに1~1年半程度、施工に1~2年半程度になると見込んでいる。契約から開設までに2年半~3年半程度と想定する。
市は「できる限り早期に施設を整備するための事業スケジュールを検証・精査する」としており、整備が完了するまでの市民や利用者、オリンピックを目指すアスリートへの影響を考慮し、空白期間を可能な範囲で短縮することを目指す。年度内には庁内の合意形成や対応方針を決定、議会承認を得た後、来年度以降に事業者の公募・契約、設計・建設に着手したい考え。