創業後57年間、座間市内唯一の銭湯として親しまれながら、2024年5月で閉店した「亀の湯」(相模が丘3)が、今月14日(予定)に温浴施設「しずの湯相模原」として新装オープンする。クラウドファンディングで100万円を目標に資金調達を行っており、外観補修、外気浴スペースの拡大、体験価値を高める備品購入に活用したい考え。【2025年2月1日号掲載】
温浴施設の企画・設計・施工・運営の一括支援を行うyue(東京都渋谷区)によると、日本全国の銭湯は、1968年の1万7999軒ピークに、約90%減少し2022年に1865軒となった。銭湯文化の危機的状況に対し、銭湯をリノベーションし、銭湯文化の保存と回復習慣の普及という2つに取り組み、多くの方々に新しい生活習慣を提供することが「しずの湯」というブランドだ。
リノベーションのコンセプトは、岩手県宮古市に位置する日本を代表する景勝地「浄土ケ浜」。訪れる人々に深い癒しと安らぎを与える浄土ケ浜の美しさに着想を得た。
銭湯は広々とした浴槽やレトロな空間を通じ、癒しと交流の場として長年地域を支えてきた日本独自の文化。銭湯の特別感と気軽さを融合させ、訪れる人々が心身を癒し、日常の疲れをリセットできる「回復の拠点」を目指す。
水風呂には銭湯時代も使い続けた地下水を汲み上げて使用する。マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を豊富に含む硬度1㍑当たり114㍉㌘の中硬水。軟水が多い日本の地下水では「非常に貴重」(同社)で、「肌にしっとりと馴染む」という感覚はこの硬度によるもの。「人間の汗と同じくらいの硬度を持つため、風呂と体内の水分の出入りがなくなるため一体化したような感覚が得られる」と説明する。
天井の高い浴場に描かれた西伊豆の風景。銭湯ペンキ絵師の最年長、丸山清人さんの筆による富士山は一部を残す。
同社は銭湯について「長い歴史の中で多くの人に癒しと交流の場を提供し、日常を支える重要なインフラとして機能してきた。広々とした浴槽や高い天井がもたらす解放感、適度な距離感で他者と共有する安心感がある」とし、「家庭風呂やビルのテナント型施設では再現できない銭湯ならではの価値」と強調する。