1月25日にアリオ橋本(相模原市緑区大山町)、同26日に同中央区小山の相模総合補給廠一部返還地と相模原スポーツ・レクリエーションパークで開かれた「相模原SDGs EXPO(エキスポ)」に先駆け、市は同24日、報道関係者や市立向陽小学校(同区向陽町8)の児童らに公開。高齢者らの移動領域拡大やアシスト、環境配慮などを狙った次世代モビリティー9種類を体験や説明を交えて展示した。同地区で検討されているまちづくりでは脱炭素のモデル地区としたい狙いもあり、次世代の移動手段として電動モビリティーを普及させたい考えだ。【2025年2月1日号掲載】
本村賢太郎市長は「世界をリードする企業に自慢の製品を持ち込んでもらい、未来の移動手段を体感できる機会をつくった。SDGsの取り組みは1人ひとりだれでもできるので、持続可能な社会づくりにチャレンジしてほしい」と児童に呼びかけた。
□脱炭素の先導地区へ
2021年に市が示した「さがみはら脱炭素ロードマップ」で50年までに市全体でゼロカーボンを目指すとし、一部返還地を中心とした相模原駅北口地区のまちづくりでは、同地区を市の脱炭素型まちづくりを先導するモデル的位置づけとする。地区全体のエネルギー需要を一括受電し、地区内の蓄電施設などを経由することで需給バランスを調整する。
また、配置する各施設はZEB(消費エネルギーゼロを目指す建物)・ZEH(ZEBの住宅版)の導入を前提とし、建設・運用段階で脱炭素を検討する。地域エネルギー(地域に存在するエネルギー資源)の導入を見据え、エネルギー需要の平準化を狙った施設用途の複合化も考えている。
向陽小6年生の児童が各組ごとに考案したまちづくり計画の発表も行われた。相模原の新たな観光名所づくりを狙い、シンボルとなる大きな時計台を造り、商業施設アリオ橋本(緑区大山町)や橋本駅(同区橋本)を結ぶロープウェーの発着所とする提案もあった。
□薄膜電池や飛ぶ車
EVジェネシスは、相模原市内企業PXP(緑区西橋本5)が開発する軽量で薄いペロブスカイト太陽電池を屋根に搭載した電動3輪車「3RUOTA(スリールオータ)」の試乗体験を行った。家庭用100Ⅴボルト電源で充電でき、10時間の充電で150㌔走行できる。自社開発のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載し、災害時にはスマートホン600台分相当の電力を供給する使い方も提案している。
ヘリコプターなどによる旅客輸送や遊覧飛行などを企画運営するAirXは、中国のドローンメーカー「イーハン」の自律型航空機(飛ぶクルマ)「EH216―S」を展示。操縦者は不要で、乗客(2人まで)が座席前面に設置されたタブレットで目的地を選択するだけで決められた飛行経路を機体が自律飛行する。
陸上輸送が困難な場合、ヘリコプターによる航空輸送体制の強化を図ることを目的に、26日、市とAirXが災害時における緊急輸送などに関する協定を締結。被災状況などの情報収集活動、救援隊や医師などの人員輸送、救援物資や資機材などの搬送のほか、防災訓練や啓発活動への協力も行う予定。