県入込観光客、1億9千万人超でほぼ全盛期水準/相模湖・相模川流域は増加率トップ


2023年に神奈川県を訪れた観光客(入込観光客)は1億9111万人となり、初めて2億人を突破した17年頃の水準まで戻りつつある。新型コロナウイルス感染症拡大の5類移行や県内での各種イベントの再開、インバウンド需要の回復などの複合的な要因により全ての月で前年を上回る結果となり、感染拡大前の19年(2億466万人)の9割まで回復した。相模原市や大和市などを含む「相模湖・相模川流域」も増加し、増加率では7エリアでもっとも多かった。【2024年9月1日号掲載】

阿波おどり 橋本七夕祭りwb
□コロナ禍前水準に

県観光企画課によると、観光客の延人数は22年の1億16406万人に比べて16・5%(2705万人)増となった。日帰り観光客の推計延人数は前年比15・7%(2356万人)増の1億7320万人で、延観光客数の90・6%を占めた。宿泊客数は同24・2%(349万人)増の1792万人となった。

相模湖・相模川流域(相模原、大和、海老名、座間、綾瀬の5市)では、同62・7%(443万人)増の1150万人。相模原市では「相模原麻溝公園」への来訪者の増加や、「橋本七夕まつり」イベントの再開などで同51・7%(327万人)増加した。大和市も大和駅西口で開催していた「西口風鈴まつり」や「神奈川大和阿波おどり」が4年ぶりに開催され、同251・5%(61万人)増となった。

海老名市では「ロマンスカーミュージアム」(16万4千人)への来訪者の増加などにより、27万人増。座間市は「大凧まつり」(5万8千人)、「ひまわりまつり」(9万7千人)のイベント再開などにより、16万人増加した。

「横浜・川崎」「三浦半島」「湘南」「箱根」「丹沢大山」「相模湖・相模川流域」「足柄」の7エリアすべてで延観光客数が増加した。もっとも観光客数が多かったのは横浜・川崎地域の7001万人。「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」などへの来訪者の増加や、「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023横浜みなとみらいイベント」の開催などが大きく影響し、1259万人(同21・9%)の増加となった。

次いで、大河ドラマの影響が残る、湘南エリアでは同11・0%(451万人)増の4557万人。茅ケ崎市では地元出身のメンバーがいるロックバンド「サザンオールスターズ」の45周年記念ライブが行われたことなどで、26・3%(59万人)増などとなった。

□麻溝公園は144万人に

相模原市内の観光地点・施設・行事では「相模原麻溝公園」(144万2千人)がもっとも多く、次いで「県立相模原公園」(同66万3千人)、「津久井湖城山公園(水の苑池)」(同64万3千人)となった。アウトドアブームに陰りが見える中でも、「上大島キャンプ場」(同2万6千人)や「望地弁天キャンプ場」(同4千人)が堅調だった。

さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト(緑区若柳)やアリオ橋本(同区大山町)など集客力がある民間施設の数字は示されていない。加えて、例年は年間150万人以上が訪れるとされる「宮ケ瀬」(同235万3千人)は、清川村(丹沢・大山地域)の観光地点として計上されている。

□相模原は飲食低く

相模原市の観光客消費額は、通年で約43億5385万円(同約22億8437万円)。春や秋の行楽シーズン、夏休み期間(7、8月)の消費がやや大きい傾向となった。宿泊費約39億8263万円(同約19億6203万円)、飲食費約1億9734万円(同約2億8778万円)は他市(横浜市・川崎市など除く)の傾向と比較して、観光における飲食にかける費用が宿泊費に対して少ないことが分かった。

観光関係者は「新型コロナウイルス感染症の5類移行や、地域の観光施設やイベントが再開されたが、円安などの影響で近場で過ごそうとする人が増えた」と語る。近年の観光について、「五輪などスポーツやアニメ作品の影響で外国や国内の若者も増えている。しかし、需要に答えるための、受け皿のようなもの(商業や宿泊)がない」との苦言も聞こえた。

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