県企業庁、水門更新や下流護岸工で19年/相模ダム大規模改修開始へ


【県当初予算関連】県はこのほど、2019年度に策定した相模ダム(相模原市緑区与瀬)のリニューアル事業実施計画を、23年度までに行った調査、実施設計を踏まえて見直した。週休2日制への対応もあり、当初38年度までとしていた工事期間は4年延伸し、42年までの19年間を見込む。概算事業費は約420億円(用地・補償や調査設計など含む)に増額となる。大規模改修は全国でも例がないため難工事になると予想している。【2024年3月1日号掲載】

20年に近い更新工事を行う相模ダムの施設群

20年に近い更新工事を行う相模ダムの施設群



同ダムは1947年(40年着手)の完成から80年近くが経過し、ゲートや開閉装置、それらを支えるピア(柱)などの放流施設の老朽化が進んでいる。下流河道では、長年にわたる放流水の影響により、河床の洗堀や河岸の浸食が進行しており、特に水衝部(水流が強く当たる部分)となっている下流左岸は崩落を繰り返している。

「かながわの水がめ」として県民150万人分の水道用原水の供給と、下流の相模発電所で最大出力約3万1千㌔㍗の水力発電を担う。水を湛えた状態、既存設備の運用を継続しながら本体工事を行う必要があり、既存設備の下流側に新設設備を建設した後、既存設備を撤去する=断面図。

相模ダム断面図
東日本大震災後、ダム本体の耐震性や強度を診断した結果、「建設当時の強度が保たれている」と判断された。洪水吐ゲート5門、調節ゲート1門とこれらを支える7つのピアを対象に詳細な検証を行った結果、設備の老朽化が確認された。

水をせき止めるダムの要である鋼鉄製のゲート扉体は、現時点で機能や安全性が保たれているものの、腐食の進行で部材厚が減少している。また、開閉装置もダムを建設してから一度も更新しておらず老朽化が進んでいるため、新たなゲート(ラジアルゲート=扇状に回転して開閉する扉)と開閉装置に更新する。

水が放流される堤体直下の川底と両岸の浸食も確認。コンクリートブロックで保護する護岸工事なども行う予定。

工事費の約168億円の増額は、工事の安全性を高めるため、ピアの設計強度を見直したことによる。地質解析の結果、下流河道の地盤が想定以上に強固で掘削に時間を要することも分かり、降雨量の少ない渇水期(11月~翌年6月半ば)の期間に確実に実施できる工法に変更したことも原因となった。

県営電気事業が事業費全額(約420億円)を支出する。相模ダムの水を利用する2つの事業(河水統制事業、高度利用事業)を構成する各水道事業者(県営水道事業、横浜市、川崎市、横須賀市)は、県営電気事業が取得した固定資産に係る費用相当額に負担率を乗せた金額を負担金として同事業に支払う。

県企業庁は「気候変動により災害リスクが高まっている中で、相模川全体における治水機能の強化に協力するため、可能な限り事前放流の強化を図る」としている。

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