ネクスコ中日本、中央道新トンネル工事が本格化/現場を報道陣に公開


ネクスコ中日本八王子支社は8日、中央道上り線(東京方面)渋滞対策の付加車線として工事を進める「新小仏トンネル(仮称)」内部などを報道関係者に公開した。交通量が多い中央道と、急峻な山肌に挟まれた厳しい環境での施工となり、特殊なベルトコンベアでの土砂搬出など工夫がみられた。工期は2026年5月までの予定。【相模経済新聞2023年11月13日号掲載】

新トンネル工事の掘削面(東京方面)

新トンネル工事の掘削面(東京方面)



神奈川県と東京都の境に位置する小仏トンネル付近では、下り坂から上り坂に代わる「サグ」と呼ばれる個所があり、渋滞の原因となる速度低下が起きやすい。ことしのお盆期間(8月10~16日)には14・9~23・6㌔の渋滞が6件発生し、取材日も午後4時過ぎになると滞りがみられた。

これを解消するため、上り線の交通容量を拡張する目的で建設しているのが新小仏トンネル(仮称)だ。既存の小仏トンネルの2車線に加え、1車線分の別ルートとして新トンネルを掘削。既設の登坂車線(約1・8㌔)に流入した車両を、橋脚の設置工事を行っている橋梁部(新底沢大橋=約0・3㌔)から新トンネルに分散させ、トンネル東側の拡幅部(東工区=約1・8㌔)に戻す流れ。

小仏2
新トンネルは21年12月から小仏トンネルの北側に並行する形で掘削が始まり、トンネル部約2・3㌔のうち、同日現在で約860㍍まで工事が進んでいる。1車線で共用するが、リニューアル工事の際などに2車線で運用できるよう幅員7㍍を確保している。

右がトンネル工事のために中央道の地下を横断する作業用トンネル、左は新トンネル本線(東京方面)

右がトンネル工事のために中央道の地下を横断する作業用トンネル、左は新トンネル本線(東京方面)



工事では岩盤を発破で崩した後、重機で1㍍ずつ掘削する。掘り進んだ分の壁に支保工(アーチ状の支柱)の設置とコンクリートを吹き付け、ロックボルト(棒状補強材)で地山に固定するという作業を繰り返しながら、1日4㍍ずつ掘り進んでいく。

ロックボルトを壁面に打設する装置。壁面の赤い点がロックボルトの頭

ロックボルトを壁面に打設する装置。壁面の赤い点がロックボルトの頭、縞に見える線が支保工の鋼材



「神奈川最古の地層」という中生代後期(7千万~1億年前)に形成したとされる「小仏層」などが分布する。堅硬緻密な岩盤である一方、「応力が解放されると薄く剥がれやすい特徴もある」とし、工事関係者は「湧水も少なく掘りやすい」と話す。

小仏 岩
掘削で出る岩石や土砂「ズリ」は150㍉以下に粉砕し、長さ約400㍍の密閉式吊り下げ型コンベア「SICON(ジーコン)」で坑外のヤードへ搬送している。関係者によると「急こう配(20%)、急カーブ(R12)が多く、通常の平らなベルトコンベアは設置できない」と説明する。

小仏1
国内の道路工事では初めての採用という同コンベアは、2本のワイヤーで吊り下げたベルトがU字状に折られ、ベルトの底でズリを包むように運ぶ仕組み。ダンプトラックの往来がなく安全で、乗り継ぎが必要な平らなコンベアと比べて「狭小な幅でも設置でき、載せ替えで発生する粉塵や騒音を抑制できる」(担当者)だという。

小仏トンネルの上り線と新トンネルの間には、事故や災害の際に行き来できる横穴「避難連絡坑」が5カ所設けられる。道路利用者が隣のトンネルへ避難するだけでなく、緊急車両や救助隊などの連絡にも用いる。

工事では車両の転回場所として利用されている横穴(避難連絡坑)

工事では車両の転回場所として利用されている横穴(避難連絡坑)



連絡坑ための補強工事を今月27日から12月8日までの平日、午後8時から翌日午前5時までに夜間集中で行う。相模湖IC―八王子JCT間で通行止めとなる。東京方面へ向かう大型車には東名高速、新東名への広域う回を呼び掛けている。

小林大助工事長は「技術的難易度が高い工事を控えており、供用車線(小仏トンネル上り線)に近いところで利用者に配慮しながら進める必要がある。引き続き安全に事業を進めていきたい」と話した。

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