桜美林大×檜原村×林業、地産材使った東京製玩具をブランドに


桜美林学園(町田市)は今月から、東京都檜原村の林業とともに産官学連携の新たな取り組み「子どもの好木心(こうきしん)『発見・発掘』プロジェクト」を始めた。メイドイン東京の玩具ブランドを創出して地域の林業・木材産業、地域経済の活性化を図る。【2023年6月22日号掲載】

好木心プロジェクト

 同大学芸術文化学群ビジュアル・アーツ専修に所属する学生13人らは、「トイビレッジ構想」を掲げる同村の林業「東京チェンソーズ」と協業し、森の素材を生かした新たな木製玩具の開発を行う。村でのフィールド調査や幼児施設を訪問してのニーズ分析を行い、新しいおもちゃのアイデア出しまで進んでいる。今後、デザインを具現化・製品化し、2024年3月の商品のテスト販売を目指す。

同プロジェクト担当の林秀紀准教授は、木製玩具の教育効果体系の構築と玩具デザインの手法について研究している。幼少期から木材との関わりを深め、豊かな暮らしや社会、森づくりに貢献できる人材の育成を目指す教育活動「木育」に取り組んでいる。

プロダクトデザインを学ぶ学生もプロジェクトに参加し、学生ならではの視点から木の素材の魅力や個性豊かな発想力で玩具を開発。玩具を通じて、普段は木や森に触れる機会が少ない子供や親に地域の森林に興味を持つきっかけづくりに努めている。

同村は総面積の9割以上が森林でかつては広葉樹の炭焼きや林業が栄えていたが、現在は高齢化と人口減少が続いている。自然が豊かで都心にも近い地理的条件を生かし、多世代が親しみやすい「木のおもちゃ」をキーワードとする同構想を掲げ、産業(19年11月おもちゃ工房設立)と観光(21年11月檜原森のおもちゃ美術館設立)の両軸で取り組みを進めてきた。同構想の第2段階としてメイドイン東京の木のおもちゃの新ブランド創出を目指し、村の豊かな自然環境を持続可能な形で次の世代へつなげていきたい考え。

5日に産学官連携の協定締結式を行った。学園の小池一夫理事長が「まさに学生が学んだ知識・教養を社会の貢献に活かす絶好の機会をいただいたことにとてもうれしく思う」と話した。

檜原村の吉本昂二村長も「3者の得意分野を連携することでトイビレッジ構想がさらに発展的に進んでいくことを期待したい。学生には多くの村民との交流を通して、地域活性化や観光振興の面での活躍も期待している」とあいさつ。

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