ブルー・スターR&D、補助金活用し請負事業本格化/超音波バリ取り装置の実力証明


相模原市内の本社に増設した自社製装置

相模原市内の本社に増設した自社製装置



超音波バリ取り洗浄装置を開発・製造するブルー・スターR・D(相模原市中央区横山台1)は4月から、同市内の本社などに自社製の超音波バリ取り装置などを設置し、バリ取りの請負事業を本格化している。バリ取りのみを事業化している企業は全国初(同社)。同15日には取引先が多いという愛知県岡崎市にも大型の装置を置き、事業拠点を開いた。中小企業庁の事業再構築補助金に採択され、請負用洗浄装置の増設に充てた。【2022年5月1日号】

請負事業の本格化は、バリ取り洗浄機などの導入に踏み切れない潜在的な顧客に向けたアプローチという考え。これまで依頼があった場合に試験的な意味合いや、装置の納品までのつなぎとして処理のみを請け負うことはあった。人手不足や材料単価の高騰などを背景に製造業の設備投資は渋い上、新型感染症の影響で実際にバリ取りを見てもらう機会が減っていた。

近年は環境保護意識の向上から低燃費化のために、自動車の部品は重い金属から軽い樹脂(プラスチック)に変わってきている。特に「高機能プラスチックPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用する企業からの問い合わせが増えており、(高温でも硬さを失わない)素材の性質が超音波バリ取りに最適」(柴野佳英会長)と期待する。

新たな事業所「中部・超音波バリ取りセンター」を置く岡崎市周辺は、同社が創業時に製品を納入した豊田自動織機(刈谷市)をはじめ、トヨタ(豊田市)や同社製車に搭載される部品製造業など取り引き先が多い。受注は金属部品を扱っている企業が中心だが、自動車の電動化で樹脂製品や電子・半導体部品など顧客の裾野を広げている。

相模原市内の本社実験室と岡崎市の同センターには、超音波バリ取り洗浄研磨装置を導入。本社にはこのほか、洗浄槽を真空にして洗浄対象物に付着した空気をすべて除去してから洗浄する「真空前処理型」、炭化水素系溶液を使う洗浄装置も設置した。

同社が得意とする同技術は、人の耳には聴き取りにくい高い振動数を持つ音波で微細な泡を発生し、その泡が弾ける衝撃でバリ(加工面に生じる不要な突起など)を除去するもの。金属、樹脂、セラミックス、複合材など多様な材料に対応できる。加工後に手作業で取り除く場合もあり、人件費が比較的安い外国に製造拠点を移転する理由の一つにもなっていた。

超音波バリ取り洗浄は「地域製造業にとって人件費の削減や品質の安定になり、国際競争力の強化にもつながる」と勧めている。「売り上げ2倍達成が今季の目標」と強気に構える柴野会長は「バリ取り請負事業は軌道に乗るまでは時間がかかるだろうが、装置の信頼性を高めて販売の促進になり、安定収入が見込める事業になるはず」と期待感を示した。

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