年間約700㌧以上のCO2削減見込む/凸版相模原工場に新印刷技術


凸版印刷は11月から「サステナブル・バリュー パッケージ」によるCO2排出量削減活動の一環として、 凸版印刷の紙器包材の基幹工場である相模原工場(相模原市南区大野台2)で、油性バイオマスインキと水性パックニスを組み合わせた環境対応オフセット印刷「エコラスター」の本格生産を始めた。

凸版相模原 同工場では、UV(紫外線)オフセット印刷から新たな印刷技術への切り替えを行うことで、1年間で約700㌧以上のCO2排出量の削減効果が見込まれる。今後、全国の紙器製造拠点へ展開し、 年間で約1700㌧以上のCO2排出量削減を目指す。

持続可能な社会に向けた要求は国内外で高まっており、脱炭素社会の実現は世界共通の課題になりつつある。同社が19年11月にSDGsの経営への統合と取り組み強化を宣言し、その中で実現したい社会を「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」とした。事業を通じて取り組むべき重要課題を「サステナブルな地球環境」など3つに設定。脱炭素社会の実現に注力し、 エコプロダクツソリューションを拡大しようとしている。

今回、石油由来プラスチックの代替素材としても活用される紙器包材の製造工程において、油性バイオマスインキと水性パックニスを組み合わせた新たな印刷技術エコラスターを開発し、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷低減を実現した。

エコラスターは、バイオマスインキを使用していることや、印刷工程でUVランプを不要としている。そのため、一般のUⅤオフセット印刷と比較して、インキの原料由来と印刷工程を合わせたCO2排出量を約34%削減することが可能。環境対応印刷として、同社が21年2月に開発した。

特性としては、色域が広く、色再現性に優れた油性インキを使用している。UV硬化型材料を使用せずに、UⅤ印刷と同等のグロス感を実現でき、 インキ表面の滑り性と耐摩擦性も有している。

同社は今後、パッケージ製品の高機能化を推進し、食品や日用品などのパッケージ市場にエコラスターを拡販する。22年度に関連受注も含め約100億円の売上を目標としている。

【2021年12月1日号掲載】

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