指定都市会、大都市法制化へ提言/見送った最終報告を後日採択


本村市長も出席した会議

本村市長も出席した会議



相模原市など全国20政令指定都市の首長で構成する指定都市長会(会長・鈴木康友浜松市長)が設置した「多様な大都市制度実現プロジェクト」(相模原市長など16市長)は16日、政令市が都府県から独立する「特別自治市」の実現に向けて、法制化を国に求める提言案などを12日に採択したと発表した。「大阪都構想」で住民投票を行った大阪市を除く、19政令市の賛成多数で決まったとしている。同市長は「やる気がないのに職員やお金を使って立法化するための理屈がない。まさにアリバイ作りだ」と批判した。

10日のオンライン会合では、移行手続きの骨子案などを記した最終報告が提出された。「道府県からの独立」への言及がないとし、松井一郎大阪市長が「覚悟が感じられない。市長会の一致として提案することには同意できない」などと否認し、同会としての提言案の採択は見送られていた。

松井市長が久元喜造神戸市長に対し、「神戸市は兵庫県から独立する考えなのか」と質問。久元市長が「現時点では考えていない。法制化された時点で判断する」と回答した。これに対し、松井大阪市長は「自分たちが要望しないものを市長会として求めていいのか。覚悟と自信を持って要求する形になっていない」と指摘した。

2010年5月に相模原市内のホテルで開催された指定都市長会議において、同会が初めて提案した。20年11月に大阪市で「大阪都構想」の 2 度目の住民投票が行われたことを機に、同市と、札幌、新潟、堺を除く16市長が同プロジェクトを発足。最終報告書では同法で新たに規定することや手続き案を盛り込むことで、同日の会議で16市長は合意に至っていた。

都構想は、大阪市(政令市)を廃止して大阪府(都府県)に財源と権限を一元化する方法。一方、16市が法制化を目指す特別自治市は、政令市が道府県の事務・権限を担う制度で、都府県と政令市の重複する業務「二重行政」を解消して人員やコストを縮小できると期待される。ただし、現行の地方自治法に類似した制度がない。

相模原市の本村賢太郎市長は「国会調整委員長として、国会議員への説明など機運醸成に貢献していきたい」との考えを示した。制度化に向けては「住民自らが地域の在り方に関心を持ち進んで議論に参加することは、地方自治の創造のためにも極めて重要。必要性やメリットを具体的に分かりやすく発信する必要がある」と訴えている。

同プロジェクトでは特別自治市に移行した場合、二重行政解消による▽市民サービスの向上▽東京一極集中の是正と圏域の活性化▽大都市の国際競争力強化による国全体の発展―などの利点があると説明。方向性では、特別自治市について「広域自治体に含まれない一層制の地方公共団体で、すべての指定都市が一律に特別自治市へ移行するものではない」としている。

最終報告書の骨子によると、移行手続きは、道府県と政令市の議会の議決を経た後、道府県と政令市が総務大臣に報告した上で書類を作成。内閣が国会の承認を経て移行を決定する。特別自治市は都道府県の区域外となり、特別自治市に市長と副市長、権限を行政区には事務所と区長、選挙管理委員会が置かれる。

【2021年11月20日号掲載】

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