相模原市、中山間地域の医療体制検討/22年度末までに対応策まとめる


相模原市は8日、津久井・相模湖・藤野の3地域の持続可能な医療のあり方について、医療関係者や地域住民が意見交換を行うための懇話会を設置した。中山間地域における医療提供体制の確保を図るため、23年3月末まで課題の把握や対応策の検討などを行っていく。

懇話会は学識経験者のほか、医療系団体、診療所、訪問看護ステーション、3地区のまちづくり会議の関係者ら12人で構成。11月に市民向けのアンケートを行い、その結果見えてきた課題を分析するほか、市が運営する診療所のあり方、緊急診療体制や課題への対応策のアイデアなどを検討していく。

青山直善氏(北里大医学部総合診療医学教授)は、会長就任後「緑区の中山間地域で持続できる医療を提供できるように、皆さまの意見をくみ取りながら今後(検討を)進めていきたい」と話した。

市は中山間地域を津久井・相模湖・藤野の3地域と定義し、過去5年間で人口が減少傾向にある一方、高齢化率は右肩上がりとなっている。医療提供施設数は病院5、診療所14、歯科診療所10、薬局12、訪問看護ステーション3。中野、三ケ木、相模湖、藤野の周辺に集中している。

このうち、救急指定病院(救急車搬送でおおむね30分圏)は、市内が相模原赤十字病院、森田病院、相模原協同病院、市外は東京医大八王子医療センターと上野原市立病院となっている。

津久井消防署では青根分署を含むすべての救急隊に2人以上の救急救命士を配置するとともに、高度救命処置用資機材を搭載した「高規格救急車」を配備している。23年度の開所に向けて同消防署の移転整備を進めるほか、鳥屋出張所と救急隊派出所の再整備について検討を進めるという。

事務局(市医療政策課)はICT(情報通信技術)など新しい技術の活用も提案。ドローン(無人航空機)やロボットを使った医薬品などの配送、オンライン診療が可能な移動診療車の導入などを例に挙げた。

今後は9月10日に2回目の懇話会を開き、市民向けのアンケートを行う。その後、22年は1、2、4、6月と4回の懇話会を開き、アイデアや意見をまとめて8月以降に市地域保健医療審議会に諮問・答申する予定。22年12月以降にパブリックコメント(意見公募)を実施し、市が意見を反映させて基本的な方向性を決定する。

【2021年9月10日号】

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