緊急事態宣言で事業者に影響/店舗縮小に追い込まれる店も


相模原市など神奈川県内でも新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、国が2日に発令した緊急事態宣言を受けて、市内の飲食店や商業施設などでは営業時間の短縮、公共施設では利用時間の調整や休止で対応している。経営を維持しようと飲食店や企業の経営者は奮闘するが、2度の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置で廃業や休業が避けられない事態になっている。

◇店舗縮小を決断

今回の要請でも、酒類の提供は午後7時までとし、午後8時までには閉店するよう求められている。県内2カ所に店を出している創業70年以上になるうなぎ専門店は、3度目の緊急事態宣言を受けて1店舗に店を絞る決断をした。

同店は戦後の浅草で修行したという初代が、成長期にあった相模原で働く人を元気づけようと創業した。30代の3代目は「70年守り抜いた味をここで絶やすわけにはいかない。苦しい判断だが、店をまとめることにした」と、汗をぬぐいながら炭火の前に立っていた。

7~8月は例年の掻き入れ時で、土用の丑の日や企業の暑気払い、取り引き先との商談などで利用が集中する。営業時間の短縮や会食の減少などで売上はやや低かったものの、昨夏はコロナ疲れを除こうとうなぎ料理を食べにくる人で例年並みの客入りだった。「例年(コロナ禍前)は少なかった持ち帰り用のうな重弁当は好調で、手応えで2~3倍にはなっている」と話す。

ことしのウナギ1㌔あたりの卸売平均価格は、例年よりも1000円前後低く推移している。ことし8月は緊急事態宣言の影響もあり、過去3年で最高額(7125円)だった20年8月から2000~3000円程度低めの取り引き価格になっているという。仕入れ価格は下がっているものの、「客足が遠のくばかりでは商売にならない」と苦言が漏れる。

◇市民生活も圧迫

「営業禁止や外出制限がかかってもいい。人の行動を厳しく制限して、接触感染を極力抑えてほしい。再三の要請に疲れた」と話すのは、都内の飲食店に勤める30代男性。昨年春の緊急事態宣言以降、勤めていた飲食店が臨時休業状態となり、20年10月に契約を解除された。その後、アルバイトを2店舗掛け持ちしながら、交通量調査や物流施設などの日雇いの仕事を入れている。

東京五輪の開会式が行われた翌日の土曜日、相模川(相模原市中央区水郷田名)の高田橋のたもとにはバーベキューや水遊びをする人の姿が目立った。愛犬と散歩をしていた60代女性は「注意すれば〝自粛警察〟と言われ、自粛を破っても批判される。国や市がしっかりしないと、病気が悪いのに市民が悪いみたい」と語った。

相模原市の本村賢太郎市長は、緊急事態宣言の発令にあたって「ワクチン接種の有無にかかわらず、夏休み期間中の感染拡大を防ぐため、県を越えた移動や、普段会わない人との飲食を控えてほしい」などと呼び掛けた。

【2021年8月10日号】

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