東橋本の岡川鍼灸院、カザフ空手代表の指導受託/コロナ感染影響し接触できず


 新型コロナウイルス感染の拡大で1年の延期となり、賛否両論飛び交う中開かれた2020年東京五輪が8日に幕を閉じた。その中、相模原市緑区東橋本の鍼灸(しんきゅう)院が外国の代表選手をサポートする話があった。岡川鍼灸院を営む岡川智行さんと、同院のベガ・ブライアンさん=静岡出身=は、今大会で追加された「空手」に出場するカザフスタン代表選手のトレーニング依頼を受けた。男子組手67㌔級銅メダルのアサディロフ・ダルハン選手(33)ら男女5人が来日し、それぞれの試合に備えてコンディション調整の体操を指導する予定だった。

岡川院長(右)とブライアンさん

岡川院長(右)とブライアンさん



 同国の文化スポーツ庁からの依頼は、参加者の治療で訪れた2015年に横浜市で開かれたアジア大会の会場で、代表選手団のヘッドコーチだったオリンバイ・マイケーエフ氏と知り合ったことがきっかけ。開会前に取材を受けた岡川さんは「これから来日する選手が決まるので、試合に向けて良いコンディションを提供したい」と話していた。
 カザフスタン空手代表の事前キャンプ地は茨城県結城市で、7月17日からきょうまで滞在している。7月7日付けの依頼状だったが、岡川さんの元に届いたのは同20日ごろ。その間、選手団との接触や連絡の機会を窺っていたが、感染症の拡大防止やセキュリティーなどの理由に加え、大会組織員会や同市への通知内容が異なり接触が認められなかったという。
 27日にはオンライン会議システムを活用したトレーンング指導を行うはずだった。会場・日本武道館などがある東京都内の感染者数が過去最多の2848人になり、急きょ選手に対するPCR検査を行うため中止となった。
 岡川さんはこれまで、2019年にスリランカ空手連盟、ネパール五輪委、イタリア政府などからの依頼で、事前キャンプ中や選手村滞在期間などの鍼灸治療やトレーニングなどを行う予定だった。新型感染症の拡大で五輪の開催を含む先行きの見通しが立たず、渡航制限を設ける国も出てきたため保留・中止となっていた。
 東京五輪での対応について「対面できないスポーツイベントに備えて悪戦苦闘した。各国のコロナ対策に温度差があり、各自治体でも温度差があったように感じた」としながら、「五輪選手や選手のファンが日本を訪れ、スポーツインバウンドの商機につながれば」と前向きだ。
 コロンビアのプロボクサー、ロベルト・バレラ氏からの依頼でボクシング代表の指導、イスラエルの障害者セーリング競技団体からもオファーを受けている。SNS(会員制交流サイト)や地域メディアを活用した集客が功を奏し、着々と活躍の場を広げている。
【2021年8月10日号】
 

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