多摩都市モノレール、事業化目指しシンポジウム/町田方面延伸へ機運醸成


延伸について意見を交わしたディスカッション

延伸について意見を交わしたディスカッション

 多摩都市モノレール町田方面延伸の事業化に向けた機運の醸成を図るため、シンポジウムがこのほど町田市原町田の市民フォーラムで開かれた。

 芝浦工業大学大学院客員准教授の山下良久氏が「交通政策審議会答申における町田方面延伸路線の分析」と題し、基調講演を行った。国土交通省交通政策審議会の評価について解説し、延伸やその後の課題について提言した。

 山下氏は、同じ駅に行くバスでも、大きなターミナル駅では発着するバス停の位置で負担が異なる例を挙げ、「小田急やJR線との乗り換えが課題。利便性を確保するため、施設配置を調整した方がいい」と指摘した。

 パネルディスカッションでは、「モノレールのある暮らし」をテーマに山田則人副市長がコーディネーターを務め、石阪丈一市長や山下氏らがパネルディスカッションを実施した。パネリストに日野市商工会の小林昭治理事を招き、同モノレールの高幡不動駅前の住民、店舗経営者として実感した延伸による変化について語った。

 小林理事は「(日野)市内の駅で唯一、高幡不動(駅)には空き店舗がない」と経済への波及効果について言及。駅前の再開発に協力した経験をもとに、「再開発後の駅ビルにテナントとして入れるように市が事業者に働きかければ、周辺の商店から理解を得られるはず」と助言した。

 山下氏は「沿線の住民が普段使う路線を“マイレール”と意識する必要がある」と指摘。石阪市長は「市民の足として認識してもらえるよう働きかけ、整備への機運を一層高めたい」と述べた。

 同モノレールは多摩市の多摩センター駅から小山田桜台団地や町田山崎団地を経由し、町田市原町田のJR町田駅まで達する約13キロメートル。導入空間には道路の新設や拡幅が必要で、整備がすでに済んでいる区間は約7キロメートルとなっている。

町田方面への延伸計画は、昨年4月の交通政策審議会がまとめた答申で「意義あるプロジェクト」に選ばれた。答申の中で「事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべき」と示され、事業化に向けた調整段階に前進した。
(2017年2月20日号掲載)

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