エクストコム、次世代産業から再注目/JAXA共同開発で好調


変調波レゾルバを持つ千葉社長

変調波レゾルバを持つ千葉社長

 エクストコム(大和市大和東)の「変調波レゾルバー」が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発した技術を民生用に転用したことで、航空・宇宙や医療機器などの次世代産業から再び注目されている。

 千野忠男社長は「大手3社から量産化の申し入れがあった。認定の信頼性は大きい」と、手応えを語る。

 開発したレゾルバーは小型ながら、真空や高低温、放射線など過酷な環境(極限環境)でも作動する。温度差が激しく、強い放射線に曝される宇宙空間でも使用できるという。人工衛星の姿勢制御や月面探査車のカメラ調整などへの用途が想定される。

 動作温度はマイナス20度から100度。JAXAとの試験で、カスタマイズすればマイナス50度から240度まで対応できると確認した。

 変調波レゾルバーは電磁誘導を利用した絶対位置検出センサー。変調した高周波で磁界を発生させて、低周波で位置を検出することが特徴。小型・高分解能・高環境耐性を実現した。

 同社はことし1月、宇宙探査イノベーションハブに採択された。分解能18ビット(約26万分割)のレゾルバーを試作し、「JAXA COSMODE」を取得している。

 構造がシンプルで、使用環境や目的に応じて、材料やサイズなどをカスタマイズできる点も評価されている。安価な材料を使うことで低コスト化するなど、多様なニーズへ対応する。

 千野社長は「中小企業にはないデータや材料、極限環境を再現できる試験装置がある」とメリットについて話す。

 同社は日本政策金融公庫厚木支店から1800万円の融資を受け、台湾に代理店を置く。年内に本格稼働させる予定で、拡大する中国市場を視野に主にロータリーエンコーダーを扱う。
(2016年8月20日号掲載) 

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