日本公庫、今年度初の制度適用/現地通貨建ての資金支援


日本公庫の担当者(左)と鈴木社長

日本公庫の担当者(左)と鈴木社長

 日本政策金融公庫厚木支店(厚木市中町)はこのほど、農産物加工の鈴木農園(南足柄市千津島)の韓国法人に「スタンドバイ・クレジット制度」を適用した。同制度は、中小企業・小規模事業者が海外現地法人と事業活動を行うために必要な現地通貨建ての資金調達を支援するもの。韓国法人への制度適用は今年度全国初、県内企業向け制度適用は今年度初となる。

 同制度は、日本公庫が提携する海外金融機関に、債務を保証する信用状を発行。海外金融機関は現地法人に対し、現地通貨建ての融資を行う。保証限度額は4億5千万円。

 同制度のメリットは、海外現地法人が事業活動で得た資金をそのまま返済に利用でき、為替リスクを回避できること。また、海外金融機関との取引により、現地の情報収集や資金調達手段の多様化などが見込める。

 制度適用をうけた鈴木農園は、全国の農家と直接仕入れルートを持ち、自社工場で加工製造した梅干しや漬物などの農産物を全国のスーパーや百貨店に卸している。

 今回、同農園は子会社の韓国釜山の現地法人を拠点に、自社製造するドライフルーツの海外販売に取り組む。日本公庫が提携する「KB國民銀行」(韓国)から、1億韓国ウォン(約980万円)の融資をうけた。

 同農園の鈴木栄一社長は「韓国で日本食品の需要は高い。海外展開により、卸しの業態からメーカー直販の業態を目指す。地元の海外金融機関と直接パイプを持つことで、現地に根差した事業展開が可能になる。現地法人でも人材育成に注力していく」と話していた。
 (2016年6月10日号掲載)

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