リベラル、入社直後「社長になる」と宣言し14年で達成したトップ/総合広告代理店


就任4年目、40歳の宮嶋社長

就任4年目、40歳の宮嶋社長

 駅前にそこそこ商業施設はあるものの、中央林間はベッドタウンのイメージが強い。

 しかし新宿、渋谷まで直通で40分前後、1度の乗り換えで横浜まで30分弱という鉄道の利便性は大和随一。神奈川、東京を主要エリアにスピーディな人的営業を展開する企業には、費用対効果に優れるビジネス拠点の穴場といえる。

 印刷物を中心としたSPツール等を手掛ける総合広告代理店のリベラル(大和市中央林間、宮嶋圭介社長)にとって、同駅から徒歩1分のビル1階に構える広々としたオフィスは、事業現況に見合った快適な環境だ。

 同社は1992年、大手印刷会社を退職した栁澤進氏が座間市で創業。当初はチラシ等の印刷請負が主であったが、営業強化を図りつつデザイン、編集等の制作分野に事業を拡張。業績の伸び、社員増に伴い、手狭になったオフィスを南林間、中央林間へと移してきた。

 企業が年輪を重ねても、広告代理店業の根幹となる迅速な機動力、柔軟な発想・企画力では、若さが大きな武器。その象徴といえるのが、2012年に36歳で3代目に就任した宮嶋社長である。

 同社長は98年に大学新卒で入社。当初から「目標は社長になること」と宣言し、日々全力で飛び込み営業を繰り返したという、この世代では希有な人物だ。

 1年目は気合いが空回りした上、交通事故で重傷を負い、前途多難と思われたが、職場復帰した2年目に奮闘。秋に月間トップの営業成績をあげると、以後独走を続け、10年に取締役、そして所期の目標達成を果たした。

 情報誌等から華やかなイメージがクローズアップされる広告業界。だが、実際はまさに山あり谷あり。労働環境も厳しい。

 08年には飯田橋に東京支店を構え、総勢50人ほどの社員を雇用していた同社も、その後リストラを余儀なくされ、現在は中央林間のみ、22人に落ち着いている。

 こうした困難な時期に舵取りを任されながら、就任以来3期黒字を維持している宮嶋社長の手腕は前社長も十分認めるところ。ただ、今後の安定、飛躍を目指すとなると、宮嶋社長の並々ならぬ気力、活力を持ってしても容易ではないようだ。

 「市場は厳しさを増している。チラシやパンフ、DM等、紙媒体主体の方針は変わらないが、美容健康関連商品の通販など、第2の柱を打ち立てるべく試行錯誤している」

 悠長に構えている暇はない。が、現在の若い社員にかつての自身のような野心が潜んでいないことも分かっている。

 昨年、創業以来初の社員旅行を実施。社員の誕生日には社長自ら選んだ個別のプレゼントを贈る。

 「顧客満足度と同様に社員満足度を高めなければ、将来はない」と宮嶋社長。

 行け行けドンドンの熱血社長でも、能力一辺倒のドライなトップでもない。“当世風モチベーター社長”として、今後が期待される。
(編集委員・矢吹彰/2016年1月10日号掲載)

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